2007年10月27日

[cinema]パンズ・ラビリンス

原題:El laberinto del fauno
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
製作:ギレルモ・デル・トロ,アルフォンソ・キュアロン,アルバロ・アウグスティン,ベルサ・ナバロ,フリーダ・トレスブランコ
出演:セルジ・ロペス,マリベル・ベルドゥ,イバナ・バケロ,ダグ・ジョーンズ,アリアドナ・ヒル,アレックス・アングロ
公式サイト:http://www.panslabyrinth.jp/

スペインとメキシコで共同製作されたダークファンタジー。主人公が少女ということで最初はあまり期待していなかったのだが,思った以上にダークでグロく,ファンタジー部分の展開はとても素晴らしい出来。しかし,主人公をはじめとした登場人物がかなりバカなので,それに耐えられないと辛く感じることも……。

この作品は内戦中のスペインを舞台に,山奥で反政府軍狩りをしている新しい父親になったお偉い軍人を赴く道中で,本好きな主人公の少女が不思議な虫と出逢うところから始まる。

この作品,ダークファンタジーなだけに夢いっぱいのファンタジーというものが欠片すらなく,そういったものを期待することなど言語道断。冒頭に出てくる不思議な虫というのからしていかにも不気味さを醸し出す容姿になっていて,後に妖精というわりには全くかわいさの欠片もないものに変身(そのシーンがまた気持ち悪い)するし,パンと呼ばれる番人が出てきたかと思ったら,神話に出てくる妙にリアルな動物の顔をしており,奇声と不快感たっぷりの動きと喋り方をしてきて不気味さを強調してくる。さすが,なんかアカデミーの美術部門にノミネートだか受賞しただけある。

ストーリーは,虫に導かれて番人パンと出逢い,そこで渡された本に書かれる試練を主人公が乗り越えるのと,多感な少女故の新しい父との蟠りからくる悩みを中心に描かれていく。
作中のファンタジーな部分について,パンを始めとしたファンタジー中に出てくるものたちは全て出てくるシーンは必ず暗いシーンでかつ主人公が一人でいる場合にのみを徹底している。そのあまりの不自然さは,終盤に主人公が体験してきた試練などが本当に現実だったのか,はたまた主人公が描いた幻想だったのか,そんな曖昧さを帯びてくる。

このダークさだけでなく存在そのものすら危うく感じさせる展開はとても良いのだが,それを台無しにしているのが主人公の軽率な行動の数々。
最初の試練では,新しく買ってもらったドレスと靴を履いた状態で試練の場に向かい,樹の中に入ろうというときに服だけ脱いで樹にかけていったら,結局風で飛ばされて汚れて母親に怒られるし,第2の試練では食卓の食べ物を食べてはいけないと忠告されたにもかかわらず食べてしまい,案内役として連れ添っていたキモイ妖精2匹を殺されたり,実に軽率。とてもイライラさせられた。

この軽率な行動をとるのがリアルだと言われたら確かにリアルなのだろうが,そんなイライラするリアルはリアルさなど不要なフィクション作品ではいらないと思うだけに,このキャラクター設定には少々疑問を感じた。他にも,作中でいる必要があるのかが疑問な反政府軍も軽率で無計画な行動取りすぎだし,どんだけ素人なんだよってレベルのことばかりやってくれる。おかげでよりイライラを増長させられた。そもそも,この反政府軍の存在が果たして映画を盛り上げたり,スパイスとなっているかと言えばまったくなってないので蛇足としか言いようがない。ダークファンタジーで戦争や政府論を説く意味がまるで分からないといったところ。

できることなら,上映時間は短くなっていいからダークファンタジー一色でいってほしかった。そうすれば,主人公の軽率な行動にも少しは寛容になれたような気もするし。
posted by タク at 14:24| Comment(0) | TrackBack(2) | 2007年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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