2008年06月15日

[ライトノベル]桜田家のヒミツ お父さんは下っぱ戦闘員

桜田家のヒミツ―お父さんは下っぱ戦闘員 (電撃文庫 か 15-1)
柏葉 空十郎
アスキー・メディアワークス
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悪の組織の下っぱとして働く父親が,誘拐してきた少女を預かることから始まるアットホームコメディ。

コメディは,とにかく変わった設定のものが数多く存在するが,主人公(と言っていいのか分からないが)が親父だったり,悪の組織の下っぱ戦闘員だったりする,なんていう少しもワクワクしない設定も珍しい。

悪の組織なので正義の味方と戦うことあるにはあるが,それは冒頭と終わりでしか描かれず,悪いことをやってるシーンがほとんどない。中心になっているのは,誘拐してきた少女のわがままに振り回される主人公一家のドタバタや,主人公一家と触れ合うことで家族の大事さ,大事な人を持つことのすばらしさといったことをヒロインの少女が持ち始める再生の物語になっている。

誘拐されてきたはずなのになんでそうなるんだ? という野暮なつっこみは横においておくとして,核となるヒロインの心の動きが丁寧に描かれ,またラストに至るまでの流れもなかなか説得力ある展開を見せてくれた。だからこそ,ラストに主人公一家に訪れた危機と,必死に彼らを助けようとするヒロインの姿に自然と感情移入でき,涙腺刺激されまくりだった。

笑いあり,涙あり,さらにメインキャラクターも個性的で魅力がありと,かなりいい線いってるので,これだけだとなんで賞取れなかったのかと疑問に思うところが,ただ,最終選考にまで残っただけで儲けものと思うしかないくらい,かなり重大な欠点を一点抱えていた。

作者は雑学とかを説明するのが好きなのだろうか,何かとちょっとでも分からなそうな専門的な用語が出てきた途端に,あれこれ数行に及ぶご丁寧な説明文を添え,全体のテンポがかなり悪くなっている。これが一度や二度ならまだしも,始めから終わりまで,せっかく盛り上がってるところでも水を差してくるのである。

とはいえ,誰も分からなそうな専門用語を使っておいて,何も説明せずに突き進むよりはマシではあるが,説明するにしてももう少し簡潔に伝わるような工夫をするか,できないのなら用語なんて使うべきではなかったと思う。
posted by タク at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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