2008年06月20日

[ライトノベル]シフトT ―世界はクリアを待っている―

シフト 1―世界はクリアを待っている (1) (電撃文庫 う 1-20)
うえお 久光
アスキー・メディアワークス
売り上げランキング: 1142

いつの頃からかゲームのようなファンタジー世界と現実を行き来するようになった少年少女たちの日常と冒険を描いた短編仕立てのファンタジー。

ゲームのような,と言うと,凶悪なモンスターと戦ったり,トレジャーハントのような物語なのかと想像してしまうが,そういった如何にもゲームっぽいという展開はあまりない。

4つの短編で構成された物語は,悪い魔法使いと戦うようなことはあれど,主人公のラケルとその仲間たちが積極的に冒険するわけでもなく,人助けやモンスター退治といったクエストを受けるわけでもなく,ただ普通に暮らす日常があり,その中で抱く葛藤が中心に描かれている。

シフトした世界では,せっかくレベルアップやスキル装備,武器育成など,他のファンタジー小説とは区別化されるゲーム的なルールが存在するのに,これを活かした展開があまりないのはちょっと残念。
あと,1巻だからかもしれないが,ゲーム的なルールについてのくどい解説なんかもあり,ルールについて掘り下げるのはいいが,それを解説でするのはちょっとやめてほしかった。

ゲーム的な要素があまり活かされていないのには,主人公のラケルがシフトした世界では勇者のように活躍するどころか,逆に勇者と呼ばれるような人間に狩られるモンスター系の種族であることが原因にあるのかもしれない。
もし仮に,ラケルの現実世界での知り合いである戦士系のほうを中心に描いていたら,実はクエストなどがたくさんあって,ゲーム性の強い物語になったかもしれないが,外伝として描いてほしいという気持ちはあれど,これを中心に描けばありきたりな物語になりそうなので,怪物系を主人公に添えたのはいい選択だったのかもしれない。

ゲーム的な設定をあまりうまく活かしておらず,ちょっと違う毛の生えた程度のそこらのファンタジーといった印象を抱かせる作品だが,続編前提にした終わり方をしていること,3ヶ月連続で3巻まで出ることも考慮すると,次巻以降でゲーム的なルールがもうちょっと絡んでくれると嬉しいところ。
主人公のラケルをはじめ,3人のヒロインやラケルのライバルらしいキャラ,現実世界での知り合いなど,人間関係のほうも楽しめそうな展開が待っていそうだと感じるが,せっかく他のファンタジーとは違うルールを持っているのだから,その点をもう少し掘り下げて独自な世界を築いてほしい。とはいえ,これの1,2巻は既に単行本として出ていたものの文庫化なので,2巻にそれを求めることは無理だろうな。
posted by タク at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/101074341

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。