2008年07月02日

[cinema]告発のとき

原題:In the Valley of Elah
監督:ポール・ハギス
製作:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス,マーク・ボール
出演:トミー・リー・ジョーンズ,シャーリーズ・セロン,スーザン・サランドン
公式サイト:http://www.kokuhatsu.jp/

アメリカの雑誌に投稿された実話を元にしたらしい,戦場から本国に戻ってきた軍人たちを,元軍人で,軍人の息子を持つ父親の視点から描いた反戦映画。

ストーリーは,トミー・リー・ジョーンズ扮する父親が,戦場から戻ってきた息子が行方不明になったという知らせを受けたことで息子を探すところから始まる。少し話が進むと,実は行方不明ではなく殺害されていたという事実が明かされ,そこから女性捜査官とともに事件の真相を追っていくことになる。

この映画のことを反戦映画と称してみたものの,ストーリーの中止は息子殺害の真相を究明することであり,どちらかと言えばミステリー映画の色が強い。
構成は如何にもミステリーの王道という感じで,捜査していく過程で浮かび上がってくる真実や,観客を欺くためのトラップやどんでん返しがいくつも仕掛けられており,この映画をミステリーと認識せずに観ていた自分は,それと分かっていれば分かるようなトラップにまんまと引っかかっており,ミステリー映画として十分に楽しむことができた。

ストーリーの真相が分かると,ミステリーとして突出した出来もないのでそっち方面では鮮度がだいぶ落ちるが,今度はさりげなくストーリーに組み込まれている反戦的なメッセージについて考えさせられる2重の作りになっている。

本作で主張される反戦メッセージは,戦場から戻ってきた軍人との交流や,故障していた息子の携帯電話に残された動画のデータから徐々に明かされる,戦場という異常な場に置かれた人間がどういう精神状態に陥るかということを見せるところに集約しており,あくまで観ている側に考えさせるようになっている。

戦場の悲惨さではなく,戦場にいた軍人のその後を描いて観た人に考えさせるという手法は,イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』が最近では記憶に新しいところ。本作の監督であるポール・ハギスとイーストウッドの関係を考えると,こういう作風に落ち着いたのもなんとなく納得。ただ,二番煎じにならなかったところは,さすが今一番ハリウッドで注目されている実力者というところか。

監督の前作である『クラッシュ』は群像劇であったが,今回は主要人物が少ない一本道の映画。これは個人の好みかもしれないが,この監督の場合,主題がぶれることなく簡潔に伝える能力が長けているため,群像劇でストーリーが散らばるよりも,一本道でしっかり語らせたほうがいいように思えた。
posted by タク at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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