原題:Hot Fuzz
監督:エドガー・ライト
脚本:エドガー・ライト,サイモン・ペッグ
出演:サイモン・ペッグ,ニック・フロスト,ジム・ブロードベント,パディ・コンシダイン,ティモシー・ダルトン,マーティン・フリーマン,ビル・ナイ
公式サイト:http://hotfuzz.gyao.jp/
ネットでの署名活動によって劇場公開が決定した英国産ポリスムービー。その熱き署名活動の努力に見合う最高に笑え,最高に熱くてかっこいい映画だった。
ロンドンで検挙率400%という驚異的な数字を誇る凄腕警官ニコラスが,その優秀さを妬まれ,田舎町に左遷されるところから始まる。だが,事件が起きるはずのないのどかな町では,ニコラスが来てからというもの次々と残虐な連続殺人事件が発生してしまう。ニコラスは,ポリスムービーの大ファンである能天気な警官ダニーを相棒に事件の捜査を開始するというストーリー。
序盤からこの映画がどういうものかを象徴するようなオマージュと英国映画ならではのシュールなギャグのオンパレードになっている。
監督が大好きで尊敬するポリス映画,アクション映画ならなんでもよしとばかりに,70年代や80年代に公開された往年の名作映画だろうと,ド派手さがウリのブラッカイマー映画だろうと,それらの映画に対するオマージュを一切合財詰め込んでいる。そこに,英国らしいウィットに富んだギャグが入り,色々な材料がごっちゃ混ぜ状態。
だが,どんだけ種類の違う材料を投入しようと闇鍋状態にはならず,むしろ旨みが凝縮され,個々の味がしっかりと際立ち,映画をより魅力的に仕上げている。
普通,こんだけ映画バカ丸出しのことをやったら破綻の一つや二つありそうなもんだが,そんなものは微塵も感じさせない。パロディにして笑いを取るのではなく,オマージュとして尊敬の念が込めてあることも含めて,映画バカ恐るべしといったところか。
オマージュの中で特に印象的なのが,ニコラスが田舎町に来るまでの道程や,事務処理といった地味で退屈なシーンを,トニー・スコットを彷彿させるような演出をすることで,スタイリッシュな映像に仕上げてきていること(実際,この監督はトニー・スコットにリスペクトしてそういう演出をしたらしい)。これによって,どこを取っても退屈するシーンがなく,全シーンが一瞬たりとも見逃せないものになっていた。
こういう映画は,オマージュやギャグばかりに目がいってしまいがちだが,元ネタがどれかとか,英国ギャグが分からないということがあっても特に問題なく,それらを差し引いても純粋なアクション映画として楽しむことができる。
特に,仕事とプライベートの切り替えができない堅物のニコラスと,彼とは正反対であるダニーの凸凹コンビが,主張をぶつかり合わせながらも,徐々にお互いのよさを学び,尊敬し合っていく男の友情や,最後の銃撃戦で能天気だったダニーも銃を取り,本当の相棒として悪と闘うシーンなんかは,コンビが活躍するアクション映画の王道として文句なしに熱いものがあった。
そのほかにも,監督の前作がゾンビ映画であったということもあってか,特殊メイクによるグロテクスな死体もたくさん出てきたりして,この監督のファンに対するサービス精神も忘れないところはかなり憎い演出だと思った。
とにかく,今年観た映画ではダントツの面白さ。唯一,一部のアクションシーンの目まぐるしいカメラワークで酔いそうになったという欠点はあったが,それがあっても現時点での今年No.1であることには変わりなし。この夏,大学教授の遺跡探索でもなく,魚の少女でもなく,この熱い2人の男の映画こそ観るべきだと猛プッシュしたくなる傑作だった。
2008年07月05日
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