2008年08月13日

[ライトノベル]アカイロ/ロマンス−少女の鞘、少女の刃

あらすじからゴシックホラーものを想像していたのだが,ヒロイン萌えの要素がちょっと高く,ホラー要素など皆無の作品だった。

首を切られても死なない「あやかし」という一種の鬼のような存在や,古代日本の妖怪の類が出てきたりと,和風伝奇小説の体をなしている。ヒロインも着物を着ていたり,メイドという存在がいても和服だったりと,田舎街が舞台とはいえ和のテイストをかなり意識しているので,和風ものの雰囲気作りはかなりしっかりしている。

ただ,伝奇小説としてはいまいちというか,生首が喋ってるとか,首を切り落とすとか,あやしげな儀式があったりとか,伝奇ものにありそうな要素をちょこちょこ塗してはいるものの,その努力は功を奏してはおらず,キャラクターの個性に作品の雰囲気が塗りつぶされてしまっている。

登場するキャラクターがとにかく少なく,しかもヒロインの枯葉とかなりズレたメイド以外は全て学生しかいないため,描かれる世界がとにかく狭い。そのためストーリーが完全にキャラクター依存へと偏重し,依存してしまっているからキャラクターの個性や掛け合いに重点が置かれて……その結果,伝奇ものの雰囲気からは遠ざかるというオチ。

また,伝奇ものにありがちな不安定で不気味で読んでいるこちらを不安にさせるような存在などは出てこず,全て少ない登場キャラクターでことを済ませてしまったのもいただけない。これでさらに伝奇臭が薄らいでしまっている。
この辺は続編を意識した結果なのだろう。それが伝奇ものの雰囲気を壊す弊害となっていると感じた。

伝奇ものの雰囲気がちょっと厳しい結果になってしまったので,キャラクターのほうに目を向けると,こちらもいまいち個性のつけ方が微妙。

主人公の景介は性悪メガネって言われるキャラクターなのだが,性悪というほど性格悪いようには見えず,ちょっと反抗期なのかな?程度の個性。その他の学生たちもそれぞれラノベらしい個性がつけられているものの,なんだか井の中の蛙という言葉が浮かんでくるほどの個性しかない。

ヒロインの枯葉と棺奈のペアが唯一うまく個性の立ったボケペアになっており,ストーリーも景介よりも枯葉が中心になっているのでなんとかそこそこの面白さを保てている感じ。

この1作だけでははっきり言って微妙。いろいろ謎とかも残しているが,唯一景介の姉がどうなったのか,という一点だけがやたら気になってしょうがないくらい。なので続きは一応読んでみようとは思うが……。


アカイロ/ロマンス―少女の鞘、少女の刃 (電撃文庫 ふ 7-16)
藤原 祐
アスキー・メディアワークス
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posted by タク at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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