2008年09月06日

[ライトノベル]マギ・ストラット・エンゲージ

平凡で安穏とした生活をしていた高校生・赤司世郎が,偶然出くわした少女に魔術機構(マテリア)を埋め込まれたことから,古代より存在する二つの魔術勢力の戦いに巻き込まれる魔術バトルもの。

ストーリーは至って単純で,『Fate』のように魔術師同士ではないが,主人公と同じく魔術機構を埋め込まれた人間同士が戦うバトルロワイヤルものに,勝利したものが倒したやつの魔術機構の力を取り込む「蠱毒」の要素を足したようなもの。さらに,主人公には彼を守ってくれるルルーラとヴィオレッタという二人の美少女がつき,主に戦うのが美少女のほうなんでますます『Fate』っぽい構図を思い浮かべた。

大まかなお話は目立ったものはなく,巻き込まれた主人公を助けてくれた少女に何度か助けてもらい,やがて主人公自身も戦いに身を投じて仲間意識が芽生え,ラスボスには主人公がもつ特異性で撃破,というこの手の作品ではありがちなもの。

主人公をはじめキャラクターの性格付けも平凡で,あらすじに書いてあるような常識が多少ズレた魔術師たちによるボケは各々の個性を活かしきれず,それにツッコミを入れる主人公もツッコミをスルーすることが多々あって,およそキャラクターの印象を強くするほどのインパクトがない(せいぜいルルーラが駄菓子を主食にしているという偏食ぶりくらい)。
また,ルルーラの,子供の頃から戦闘技術を教え込まれてきた少女という言葉から真っ先に連想されるタイプにど真ん中な設定も,そういった過去をもつトラウマというか孤独性というものもほとんど見えないため,せっかく一人戦うルルーラを助けるために主人公が共に戦うことになったシーンが,ルルーラの感動ぶりとは対照的に,読んでいるこっちはスクリプトどおりに書かれているという印象しか抱けなかった。

ストーリー自体は平凡としか言いようがないけど,それよりも注目したいのが主人公の一人称で書かれた文章がとにかく読みやすいというか,新人というわりにはうまいこと。
ライトノベルとしては比較的長文なわりには,冗長なところがなく,結構整理された文章で構成されているため読まされてる感がない。この作品での魔術やその周辺に係わる設定も要所を抑えた説明になっているため,あまりに多くの用語が飛び出すわりには読み返すことなく理解することができたのはちょっと良かった。

魔術バトルものの基本は抑えてあるので普通に面白いことは面白いし,文章もうまいが,キャラクターの個性が弱かったのが残念。ちょっと天然の入ったルルーラと,主人公をからかうために分かっててボケをかますヴィオレッタ,この二人の美少女の個性をもっと活かした漫才をやって主人公が疲れ果てるくらいにツッコミキャラになってくれれば,もっと楽しめたかなぁ,と思う。

ともあれ次回作に期待はできる作家さんだと思うので,今後に期待したいかな。


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posted by タク at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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