2008年09月17日

[ライトノベル]獅子の玉座<レギウス>U 巨人の聖砦

昨年末に出たハイ・ファンタジーの続編。1巻では魅力的で作り込まれた設定がありながらも,それらを語ることに労力が割かれ,その分ストーリー構成に練りこみ不足を感じたが,今回はかなり洗練された魅力的なファンタジー小説となっていた。

1巻を読んだとき,世界観の設定をはじめ,続編を出すことが半ば当然のような終わり方をしたのに色々なものが詰め込みすぎなのがダメだと書いた。だけど,そのダメだと思った点が功を奏したようで,2巻では世界観等の語りにページが割かれず,その分レオンやアリアン,この2人の対のように登場したセレネ&メルキオのキャラクターの掘り起こしに労力が割かれている。

レオンやアリアンだけでなく,初登場のキャラクターの心情もきちんと表現されたことで前巻よりもぐっとキャラクターに感情移入もできたし,1巻では登場したことそのものに意味を持たせるために用意されたようなキャラクターたちの役割分担が,今回はメインストーリー上必要性のあるところに収まっている。

主要キャラクターだけでなく,ほとんど出番の少なかったゲストキャラクターですら意外な形で伏線のような台詞があったり,主要キャラクターの掘り起こしもキャラクターの性格付けのエピソードに留まらず,ラストに向けたいくつもの伏線になっていたりと,前回不満を感じた伏線もなしに展開されたストーリー構成も払拭され,個々のエピソードが無駄なく繋がっていき,やがてクライマックスという一つの点に結びついていく構成はとてもよかった。

ラストにはまたしても神話上の存在が登場してくるが,前回のラストでもやっていたことで耐性ができたことと,伏線張りのおかげで嫌悪感はあまりなかった。むしろ,これらの存在すら後々の伏線にしようとする伏線の伏線まで出てきたことで,次はどういう形でどの神と出会うストーリーが展開されるのか,楽しみにすら感じる。

2巻で一番面白いと思ったのが明確な敵キャラクターというものが出てこず,バアシュ教という過激派の宗教団体がそのものが敵となったこと。
1巻でも登場してきたが,ユーサーや<無貌の王>といったいかにもボスキャラ的な存在によって,暗躍の張本人でありながら存在感が薄らいでしまい,完全な脇扱いになっていた。それに対して,今回は強敵や今後因縁になるようなしぶとい敵を用意するのではなく,悪意をもった集団というものが敵となることで,この作品の世界の一員に陽が当たり,結果この世界がどういう情勢になっているのかを垣間見ることができ,世界観をより活かしているように感じた。

1巻での不満点が払拭されたかわりに,2巻で不満を感じる点がいくつかあった。といっても細かいところで,1巻で提示された謎が謎のまま残され,さらに2巻でいくつかの謎が上乗せされたこと。なんというか,もやもやとしたものがあるので,新たな謎を提示するなら以前の謎を解明した後にして,あんまり謎を上乗せしていかないでほしいところだ。

あと,1巻からもうすぐ1年経ちそうになっていたので,3巻は体調を崩さない程度に早く出てほしいな。


獅子の玉座〈レギウス〉 2 (2) (電撃文庫 ま 7-9)
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posted by タク at 01:28| Comment(1) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by @音三昧 at 2008年09月17日 15:18
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