2008年09月24日

[Xbox360]インフィニット アンディスカバリー

『スターオーシャン』『ヴァルキリープロファイル』で有名なトライエースが,次世代機に初参入した新作アクションRPG。トライエース好きにとって発表当時から期待を高まらせていたタイトルだったけど,ゲームの出来はどの過去作よりも荒削りで,一番の肝であろうコンセプトはほとんど活かせていない,がっかりゲームになっていた。


荒削りばかりが目立つゲーム性

移動フィールドと戦闘フィールドの境目のないシームレスなバトルの実現,モンスターはリアルタイムで常にフィールド上を動くので,周囲の安全確認を怠らないように……ということがパッケージに書かれていた。

一つ一つのマップはそれなりに広く,また街全体がシームレスになっている点は評価できるものの,移動フィールド,街,ダンジョンのマップは明確に分かれており,全てのマップがシームレスに繋がっていることを期待していた身としてはちょっと残念なものがあった。リアルタイムとやらも,モンスターは常に定位置から許された行動範囲の中でしか動いていないため,気づいたらそのフィールド中にいるあらゆるモンスターに囲まれていました,ということもないため,パッケージのおどしほど緊張感がない。

リアルタイムであることを実感するとすれば,モンスターと戦闘中に立ち止まってコマンドからアイテムを選択,使用するアイテムを探す時くらいだろうか。そのときばかりは,コマンド選択中でもリアルタイムに進行していて,モンスターからボッコされてしまう状況を恨めしく思った。というか,アクション性の高いゲームなんだから,アイテム使用についてはショートカット機能をつけて,より活発に動くことができるようにしてほしかった。

本作のコンセプトともいえる,フィールド中に組み込まれたギミックを使って戦闘を有利に進めるシチュエーションバトル。序盤はチュートリアルの意味合いがあるためか,シチュエーションバトルというものに面白さを感じさせるものがないものの,フィールドを観察し,その場を有利に進めるための発見をし,発見に対するアクションを実行する,といったコンセプトに対する一連の流れが実現されている。だが,フィールドに仕掛けられたギミックも,行動によって刻々と変化するフィールドも,あくまで用意されたイベント型の戦闘だけに留まり,通常時に発見できるものといえば,そこらに転がっている木の実と薬草,宝箱くらいしかない。本作の根幹ともいえる部分のお粗末ぶりは,正直呆れを通り越して笑うしかなかった。

もう一つのコンセプトであろうものが,4人×3パーティの最大12人での冒険。ただこれもほとんど活かされる場所がなく,活かされる場所があっても3つの通り道のあるダンジョンを3パーティで分かれていくくらいのものしかなく,結局のところほとんどが4人パーティー。8人が集結して一つのフィールドを駆け回ることは何度かお目にかかれるが,12人が集結するのは3パーティで分かれた後,ボス戦で合流したときくらいだろうか。それすら12人が集結していたかは微妙に分からないけど……。

せっかく多くの仲間がいるにも係わらず,パーティーメンバーの入替が街フィールドか一部ダンジョン攻略時のメンバー選択くらいしかなかったのもかなり不満だった。3パーティに分かれて攻略するようなところは仕方ないとして,ただ街から街へ移動する際に通るフィールドなんかでは,街にいなくてもいつでも自由にパーティーを入れ替えることができるようにしてほしかった。特に,巨大な岩やら通常では取れないような宝箱があるときなどは,岩を壊し,宝箱を取ることのできるアクションやアビリティをもったキャラクターをいますぐ呼ばせてくれ! と何度も思ったもんである。

また,仲間たちが独自に持つアビリティを使うことができるコネクトアクションというものについては,アクションを指示してから実際に行動に移るまでの間が多少あることを除いてはそのコンセプト自体は面白いと思う。ただし,ヒロインのアーヤによる弓矢の使用や,コマチというキャラクターの鍵縄を使用する場合は一人称視点になって狙いを定めることになるのだが,一人称になったあと,画面の真ん中からほとんど的を動かすことができなかったり,モンスターの攻撃を受けたらアクション実行状態がキャンセルされたりと,かなり融通が利かず,使い勝手もあまりよろしくなかった。

トライエース作品といえばアイテムクリエイション(IC)も見逃せない。キャラクター一人一人が使用できるICが違ったり,同じICでもキャラクターによって作れるものが違ったりと,各キャラクターの個性を大事にしている点は評価できる。ただ,ICを実行できるのが移動フィールドやダンジョンではパーティーメンバーのみ,街ではコネクトしたキャラクターのみで,『スターオーシャン3(SO3)』と違って一応はどこでもICができるという点はいいものの,色々と面倒。確かに,近くにキャラクターがいて初めてICができるというほうがリアルなのかもしれないが,これは悪い意味でのリアル。こういうところは「だってゲームですから」と,もっと自由にICをさせてほしかった。


お使い上等! でもそのアイテムって……

日本製RPGといえば,「○○をもってこい」「○○してくれ」といった所謂お使いクエストが恒例。本作でもそんなお使いクエストが多々あり,依頼を達成するため街を行ったり来たり,場合によってはAとBの街を行ったり来たりする必要がある。

そんな面倒なことでも,達成すればそこそこいいアイテムや,そのクエストでしか手に入らないアイテムといった苦労しただけの見合う報酬があるもんだが,本作は悲しいことに苦労しても回復薬や異常ステータスの回復アイテムといったいつでも買えるものが多く,これだけ苦労してこんなものか,と落ち込みがち。

さらに落ち込ませるのが,ディスクも2枚目に入って海を渡った後のクエスト。海を渡ると,しばらくは船が出ないため戻ることができないのだが,困ったことに,渡った先で依頼されたアイテムはその近辺では手に入らず,船に乗って出戻りしないといけない状態。じゃあ,船に乗って戻れるまでクエストを放置,いざ戻ることができるようになったらクエストの終了期限がきてしまいました,という残酷なオチ。先のクエストを読んでアイテムを揃えるエスパーにでもなるか,よほどそのアイテムを大量に入手していない限りはクエスト達成できないというのはいくらなんでもひどすぎる。これ,テストプレイ時にクエスト受けたところではアイテムが手に入らないことに気づかなかったのだろうか。


処理落ちはあるが戦闘の爽快感はいままでで一番

戦闘システムは『SO3』と同様,弱攻撃と強攻撃があり,弱強それぞれのボタンを長押しすると必殺技が発動するというもの。ただし,『SO3』と違ってモンスターとの距離に応じて近距離用と遠距離用の技を設定できるということがなくなっている。

近・遠距離で技を分けることができなくなったのには,操作キャラクターのカペルが近距離攻撃しかできないということも関係しているのだろう。それじゃしょうがないと思いつつも,そもそもカペルが使える技がかなり少ないのを見る限り,遠距離用や空中用の技も作ればよかったんじゃ……と思う。この点についてはかなり手抜き感を感じた。

ただし,戦闘の爽快感は過去のトライエース作品では一番いいと感じている。弱→強→弱技→強技のコンボの繋がりは,『SO3』で不満だった一つ一つのアクションに入る間が取り除かれているし,処理落ちするのは残念だが,シームレスでありながらスピーディに派手なエフェクトの技が次々と繋がってコンボ数が増えていく様はかなり気持ちいい。

また,弱攻撃を何回繰り出してから発動したかによって強攻撃のバリエーションが変わる点も面白い。まぁ,もっと他にやるべきところがあるだろって思わず愚痴をこぼしたくなる細かい点ではあるんだけど……。


評判ほど悪くはないグラフィック

海外のゲーム批評や実際プレイした人たちの感想を読むと,グラフィックのクオリティに対する酷評もよく目にした。Xbox360で出ている他のゲームと確かにいくらか劣る。だが,それでもこのゲームのグラフィックは次世代機のパワーだからこそできたものだと思っている。

フィールドやモンスターについては,オブジェクトが少々足りなかったり,出てくるモンスターの数が少ないという点はあるものの,次世代機としては十分な領域に達している。問題はキャラクターのほうだと思うんだが,イベントシーンを見る限り,PS2で出た『FF12』と同等か毛の生えた程度の見た目。

イベントシーンだけ切り取るとお世辞にも次世代機のグラフィックとは言いがたい。ただ,ゲームキャラクターを操作中に,キャラクターがアップに映るような位置取りをすると,イベントシーンで見たまんまだし,ミルシェさんの乳ゆれもイベントシーン以外でも拝むことができる。PS2までは,イベントシーンにはキャラクターにポリゴンを贅沢に使ったハイポリゴンモデルと,操作中は見た目がしょぼいローポリゴンモデルと,2つのモデルを使い分けていたが,このゲームは最大で12人…は怪しいが少なくとも8人のキャラクターがイベントシーンのクオリティのまま同時に動いている。このクオリティは,さすが次世代機と思わせるものがあった。

その他,暗い場所だとしょぼく見える鎧などの貴金属が,光源の当たり具合によって光沢が出たり,反射の仕方が違ったりと,細かいところで妙なこだわりを見ることもできた。これもまた,次世代機って感じがした。

キャラデザインについても気持ち悪いという意見を多く見かけるけど,これって『ヴァルキリープロファイル2(VP2)』の延長線上にあると感じたので,それも酷評するほどかな,という気がする。

トライエースがリアル風のグラフィックを意識していたというなら,当然『VP2』が一番参考になるわけで,『VP2』のグラフィックを見ていたなら,このデザインに何をいまさら文句言うか,と。それなら2年前にケチつけとけ,と。むしろ,明らかにおかしな点の多かったポリゴンモデルがようやくまともになってるし,死んだような目ってのも,光のある場所だと目に光が入ると生気は十分感じるし,イベントシーンではちゃんと表情を作っているので死んでるようには見えない。死んだような目を見るには,操作中に意図的にそう見えるカメラ位置にしないと拝むことができなかった。

コンセプトを活かせてなかったとか,その他もろもろの批評は納得いくところはあったものの,グラフィックに関してだけは,次世代機のすごいグラフィックではないものの,十二分に強力なグラフィックパワーを活かしたものだと感じる。これは単なる信者視点なのだろうか。


続編に意欲的なら,今度こそは構想していたものの実現を

コンセプト自体はワクワクするもので,最初に語られた構想が実現されたらもっと面白くなっただろうに,と思う。今回は不満がありすぎて残念な結果に終わったが,キャラクターのAIは思ったより賢くて,回復してほしいときにそのキャラクターに余裕があれば回復してくれるし,モンスターにフルボッコされた状態に陥っていれば断られたり,各キャラクターの好感度に応じても変化するようで,もっと洗練するべきところを洗練すれば,本作のコンセプトがもっと活きてきただろうと思う。

それゆえに,開発者のインタビューでチャンスがあれば次回作を作りたいということを匂わせていたようなので,もし本当にチャンスとやる気があるなら,今作の抱えるかつてない不満の数々を乗り越えて,今度こそは構想に対する期待にふさわしい面白い作品にしてほしいもんである。


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posted by タク at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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