2008年10月19日

[DS]ワールド・デストラクション 〜導かれし意思〜

豪華なクリエーター陣,有名声優や旬の俳優をそろえた出演陣,さらにアニメなどのメディアミックスを大々的に行い,満を持って登場したセガの大作RPG。今後もDSでRPGが発売していくセガにとって,その先鋒を切って発売した本作は,至るところでストレスのたまるRPGだった。


唐突かつ長くて退屈なストーリー

このゲームは,主人公キリエが世界を撲滅する撲滅委員会に所属するヒロインのモルテとともに世界を旅するボーイ・ミーツ・ガールのストーリーとなっている。

ストーリー展開やキャラクターの性格付けと台詞回しは,シナリオを担当している加藤正人氏らしい「加藤節」を感じさせ,一ファンとしてはそれだけで満足したいところだが,そうも言ってられないくらい悪い点が目立つのが本作。

加藤氏のシナリオの魅力として,普通ならもっと簡潔にするか,色々説明してこちらの解釈の余地をなくすところを,短いシーケンスの中に様々な謎を提示しつつも明確な答えは出さず,思わせぶりな台詞で物事をキャラクターに語らせることで,こちらが色々妄想させることを楽しむことにあると思っている。また,個性的なキャラクターを多数そろえつつも,それらが前面に出てくることがなく,無個性ではないけど必要以上に個を主張しないキャラクターもまた一つの魅力。

だが『ワールド・デストラクション』では,キャラクターたちの個性がはっきりと確立され,彼らはイベントシーンで自己主張をするし,長々と語ったりもするんだが,如何せん台詞のほとんどが抽象的なものばかりで,それを長い時間見させられることには正直退屈で,しかも疲れるばかり。「加藤節」は短いシーケンスと個性を押し出さないキャラによって初めて活かされ,また許容できるのだと思い知った。

後半になるとイベントシーンの長さは顕著になり,ボイスなしイベントでは会話の内容が分かる程度にひたすらボタンを押していき,ボイスありイベントでは「さっさと終われー」と念仏を唱えるようになっていた。というか,イベントシーンはStartボタンでスキップできたのでスキップしたかったのだが,さすがにそれやるとますます何がなんだか分からなくなるのでやめたが,見終わってみるとスキップしてもよかったような気になったのも事実。イベントシーンは,とにかく演出過多であった。

イベントシーンにケチをつけたが,その他にもストーリー進行事態もすごいもんで,このゲームでは春・夏・秋・冬の4つの大陸に分かれてるんだが,後半になるまで旅先となる大陸を指定することができず,行ける場所を完全に決められてしまうのも大きな不満。
ダンジョン探索で,完全に探索しきる前にボスと遭遇してバトル終了後,強制的に戻るところまではいいものの,その後一度戻りたいと思っても次のイベントに行ってしまい,戻ることができない。しかも,行ける場所を完全に限定されては,世界を旅しているというより,旅させられている感じ。まだ行っていない場所はともかく,一度行った場所くらいもう少し自由に行き来することを許容できないもんだったのだろうか。


探索させる気力をなくすダンジョン

ダンジョン探索において,RPGには大きくわけて3種類のものがある。ダンジョンマップのないものと,キャラクターが通ることでマップが作られていくものと,最初から完全なマップがあるもの。このゲームは最初から完全なマップが上画面に表示され,さらにダンジョンの作りもシンプルかつ短いものになっている。

だが,探索する気が起きない理由はマップがあって構成がシンプルだからではなく,それを逆手に取ったかのようなエンカウント率の高さによる。

このゲームはランダムエンカウントで戦闘に入るのだが,とにかく頻繁にエンカウントする。ついさっき戦闘したかと思ったら,数歩進んだ段階でまたエンカウントすることなどざらじゃなく,短いダンジョンを普通に探索していたのに数十回とエンカウントするのははっきりいってうざいの一言。

それでも戦闘が楽しければよかったんだが,後述するけど本作はお世辞にも楽しいとは言えない戦闘なため,はっきり言ってエンカウントの高さはストレスばかり積もらせる。

また,エンカウントの高さだけでなく,ダンジョン内でお使いイベントのようなことをさせられることもある。ダンジョンは広くないとはいえ,同じところを何度も行ったり来たりするのもかなり苦痛で,ただプレイ時間を長くするための面倒なものでしかなく,ふざけた処置にしか感じなかった。こんな方法でプレイ時間を稼ぐくらいなら,複雑で迷いやすくてもいいから,もっと探索しがいのあるダンジョンを設計してほしかった。


ユニークな要素はあるものの,戦略性が乏しく,ストレスのたまる戦闘

このゲームの戦闘システムは,下画面の左下にキャラクターの行動順が表示され,順番がきたときにアクションを実行できる回数を示すBPの数分行動することができる。アクションには,威力は強いが命中率とヒット数の少ないブロウ,威力は低いが命中率とヒット数の多いラッシュ,防御に攻撃・防御系スキルとアイテムがあって,それらがABXYボタンに割り振られている。

攻撃方法にブロウとラッシュの2種類があるので,それらを使い分けていくことで戦闘の有利・不利が決まるのかと思っていたが,実際にブロウを使うことはほとんどなく,大抵の敵はラッシュだけで事足りる,というよりラッシュのほうがヒット数の関係で与えられるダメージ数も多い上に,クリティカル率も高く,ラッシュを使わずブロウ使うなど損することばかり。さらに,ヒット数とクリティカル発生時にBPが増えるようになっており,一回の行動ターンでより多くの行動ができるようになるし,BPが満タンになると必殺技も使えるので,ブロウ使う利点がまるでなく,一体なんのために存在するのか不思議に思うほど。

さらに,攻撃・防御系スキルも使うことはほとんどなく,後半になってようやく存在意義が出てくる程度。それも最悪なもので,そこらのザコモンスターがメタルスライムクラスの回避率や防御力を見せたり,行動順では次は自キャラのターンなはずなのに,なぜか敵に行動順を割り込まれたり,ボスやイベント戦闘だと延々と敵の攻撃が終わらないといったことが発生して嵌め状態に陥ることがあるため,それを回避するため,また嵌め状態になっても死なないためにスキルを使わざるを得ないという状況。

このゲームの戦闘を調整した人物は,こうすることでプレイヤーが考えるようになり,戦略性を生み出していると思ったのかもしれないが,ここまで極端なものでは理不尽でストレスがたまるばかりで,バランス調整のセンスがないとしか言いようがない。悪評高い『アンリミテッド・サガ』も楽しめた自分だが,あのゲームのようにサド気があるわけでもなく,ただの考えなしとしか感じられなかった。

このゲームのユニークな要素として,イベントシーンで手に入れた台詞を"装備"することで戦闘中に特殊効果をもたらしてくれるボイスセットと,2画面を使ったバトルがある。

ボイスセットには,戦闘開始・終了時や攻撃を受けたときに特殊効果が発生するものがあり,その効果もそこそこ多種。別に普通のスキルとしてもいいんじゃないかと思ったが,ただのスキルではなくボイスにしたというのは面白い試みではあると思った。……あくまで最初は。

最初こそイベントシーンで喋った台詞をバトル中でボイスつきで喋ることを面白がっていたが,それも何度も続くとさすがに飽きてくる。飽きてくると,今度はボイスセットの効果が発生するたび,ボイスが終わるまでゲームが中断されることにテンポの悪さを感じ,ついでに言うとしょぼい演出なのに一つ一つのアクションが長くてテンポが悪いため,さらにテンポを悪くするこのシステムがとてもうざくなってくる。そのため,魅力的な特殊効果はあっても,必ず一回しか発生しない戦闘開始・終了時以外のボイスは全てはずすようになった。

2画面を使ったバトルは,一体何がやりたかったのかが未だに分からない要素。空中に飛ぶモンスターを上画面に表示され,上画面のモンスターを攻撃するときは地上にいるモンスターとは違う攻撃になるのだが,いちいち地上と空中で使い分ける理由も今ひとつ分からず,使い分けたことで何か楽しいことがあったかといえばまるでない。むしろ,ただでさえテンポ悪いというのに,空中へジャンプと地上に着地するするというワンクッションが一回のアクションごとに入るため,ストレス溜める以外の要素が見当たらない。これもまた試みとしては面白いが,それを面白さに昇華することがまるでできていなかった。

また,BPが満タンになったときに使用できる必殺技でもキャラクターが2画面を使って技を披露するんだが,技の演出が長いくせに,ドット絵で描かれたキャラクターの動きはコマ送りのようなアニメーションをするわ,エフェクトもしょぼいし,背景も黒一色で必殺技を使ってるキャラクターしか映らないため,せっかく2画面使って派手に動いているのにしょぼさばかりが目立つ。なまじ威力が強いのでつい使用してしまうのだが,もう見なくていいと思ってもスキップする術がないため,ひたすら退屈な技を見続けないといけないという苦痛が待っている。

演出がしょぼいのはしょうがないとして,せめて長くて退屈な技の演出スキップも取り入れてほしかった。イベントシーンはスキップできるようになってたんだから。


今後のセガRPGの行方が心配になる出来

テストプレイヤーから文句はでなかったのだろうか。そんな疑問が即座に思い浮かぶくらいストレスを溜めさせれる要素が満載だった『ワールド・デストラクション』。サターンやドリキャス時代に不足していたRPGタイトルをようやく自社でそろえられるようになったものの,年末から来年にかけて続々とDSで発売される今後のセガ製RPGに対するクオリティに,どこか不安を感じさせる出来であった。


タグ:DS RPG ゲーム
posted by タク at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/108288981

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。