2008年11月17日

[DS]ヴァルキリープロファイル -咎を背負う者-

北欧神話を題材にした人気RPGシリーズの最新作。……なんだけど,携帯機だからなのか外伝という位置づけだからなのか,シュミレーションRPGと化した本作。トライエース作品としては珍しく難易度の低く,複雑なシステムもないのでとっつき易いが,この手のジャンルとしては戦略性が乏しい微妙な出来だった。


シュミレーションRPGへと転身したジャンル

『ヴァルキリープロファイル(以下VP)』シリーズといえば,2D横スクロールで描かれる街やダンジョンをアクションゲームさながらに探索し,戦闘ではターン性RPGを踏まえながらも,ボタンに行動キャラクターを割り振ることで攻撃のタイミングをこちらに任せるシステムを採用してきた。

本作では,街は一枚絵で行き先をコマンドで指定するようになり,ダンジョンはシュミレーションRPGになったことで探索という概念がなくなったことでアクション性というものがなくなっている。

ジャンルが「アクションゲーム」であるものと比べると,『VP』シリーズのアクション性など所詮はおまけ程度のものでしかないが,宝箱を取るために水晶石を使ってちょっとシビアなアクションをするといったイライラするけど宝箱の元に辿り着いた時の喜びと,散々苦労したのに大したものが入ってなかったときの「あれだけ苦労してこれかよ!」が味わえなくなってしまったのは残念なところ。

では,そんなアクション性をなくして実現されたシュミレーションRPGの要素はどうかというと,冒頭でも書いたとおり戦略性が乏しい。

1つのクエストでは,最大4ユニットでクエストを攻略していく。基本は通常のシュミレーションRPGのようにコマを進め,敵ユニットに対して戦闘を仕掛け,敵を倒していくのだが,このとき,攻撃対象の敵ユニットに攻撃可能な周囲の味方と一緒に攻撃することができる。戦闘では,『VP』シリーズでおなじみのシステムが採用されており,1体の敵に対して最大4ユニットで戦うことが可能となっている。

シュミレーションRPGとなり,果たして従来の『VP』の戦闘がどう変わってしまうのかが不安だった身としては,ジャンルを変えつつもうまくおなじみの戦闘システムを盛り込むことができたと感心したものの,同時にこれが本作の難易度を著しく下げてもいると感じた。

このゲームでは,一度行動した味方でも,他の味方が攻撃する敵ユニットが攻撃範囲に入っていれば戦闘に加わることができるため,ボスや比較的強いザコ相手でも手数で圧倒できてしまう。また,敵ユニットは基本的に自分の攻撃範囲に入らない限り動くことがなく,さらに,動いたとしてもほとんどが単一ユニットで来るため,よほど無策でなければやられることもなく,また自然と1ターン1ユニットをゆっくり4ユニットでフルボッコできてしまう。

後半には2〜3ユニットでこちらを攻撃してくるザコや,大技を使ってくるボスも登場して味方ユニットがやられる確率が高くなるので多少考えて行動する必要があるが,そういう敵がいる場合でも攻撃範囲に入りさえしなければ襲ってこないので,事前に補助魔法をかけてたりして対策を練る余裕はあったし,ユニット復活用のアイテムをケチらず用意していれば十分形勢を立て直せるため,あまり苦労することがなかった。

このゲームでは,カルマという,敵のヒットポイントがなくなった後に攻撃することで得ることができるポイントがある。この1クエストあたりにノルマが一応課せられており,これを下回ると一体どうなるのかは下回ったことがないので分からないが,ノルマをクリアすれば報酬としてアイテムがもらえ,さらにノルマの倍のカルマを得れば,より貴重なアイテムももらえるようになる。そのため,ただ敵を倒すことよりも,いかに高いカルマを得ることができるか,ということを考えると戦略を練らないといけないクエストが出てくる。ただ,そこまでやっても他の同ジャンルと比べて高い戦略性というものはないんだけど……。

あと忘れちゃいけないのが,"女神の羽"とアイテム。これを使うことで味方の力をアップさせて戦闘をより有利に進めることができたり,主人公が強力なスキルを覚えることができてそこそこ便利なのだが,その代償としてクエスト終了時に使った味方が死ぬという後味の悪さがあるのがちょっと玉の瑕。また,味方ユニットが増える機会があまり多くなく,場合によっては後で仲間になるだろうと思って切り捨てた職業のやつが仲間になりませんでした,なんてこともあるため,意外と使いどころが難しい。そのほかにも,後述するマルチストーリーにも影響を及ぼしている。


マルチストーリーと周回要素

『VP1』では,とある仲間をとあるタイミングで天上界に送リ出したり,怠け放題することで粛清が待ち受けていたりとストーリー……というよりラストの展開が分岐したが,本作では"女神の羽"の使用回数に応じてラストだけでなく途中のストーリーも分岐するようになっている。

分岐する条件や,マルチストーリーの種類についてはそれほど豊富な種類が用意されているわけでないので大袈裟なことは言えないが,全6チャプターあるうちで2チャプター目からストーリーが分岐するようになっており,1周あたりのプレイ時間が20時間もないことも手伝って,つい2周目とかをやりたくなる気持ちにさせられる。

そんな心理を読んだのかは知らないけど,本作ではトライエース作品では珍しい周回要素が用意されている。といっても"強くてニューゲーム"のような1週目のレベルのままというものではなく,入手したアイテムや覚えたスキル・魔法を引き継ぐ程度。それでも終盤に手に入れた武器・防具を序盤から使用できたりと,2周目がかなり楽にこなせるようになっている。また,この手の周回要素のあるゲームにありがちな"2周目の敵は強くなる"ということもないため,気楽に挑むことができる。

用意されたエンディングを全てクリアすると,恒例のセラフィックゲートに挑むことができるらしい。残念ながら,まだそこまで辿り着くほどプレイできていないので,一体どれほどの強敵が待ち受けているのか,早く挑みたいところ。


DSソフトでも平均的なグラフィック

『VP』シリーズといえば,視点を2D横スクロールと限定されたものにすることにより,発売するハード中でもトップクラスの綺麗なグラフィック(特に背景は次世代機と比べても遜色ないレベル)で魅せてきたタイトル。

今回もすごく綺麗なフィールドが描かれているのかと期待していたが,横スクロール視点ではなくクォータービュー視点であること,3Dポリゴンで描かれた背景かつ視点変更が可能になったせいか,これまでのようにすごく綺麗なフィールド画面というものが見られなくなってしまった。また,画面作りが変わったことを考慮しても,DSというハードの中でもお世辞にもすごいグラフィックとは言えない,極めて平凡なグラフィックに落ち着いてしまっていた。

キャラクターやモンスターのドット絵については,発色がかなりよかったのでそれなりに綺麗に見えた。ただ,ドット絵キャラのアニメーションのほうがいまひとつで,アクション要素も備えた初代と比べるとフレーム数が少なくなっているのか,動きに滑らかさを感じなかった。また,キャラの等身も下がっていることもあってアクションに派手さが減少してしまっている。ほかにも,エフェクト関連がシリーズ中で一番しょぼくて,せっかく必殺技を使っても何度も見たいと思えるようなものになっていなかったのもマイナス。

トライエースといえば,ハードスペックの限界を超えてるんじゃないかと思うくらいのものを作ってくる変態技術集団という印象があるし,さらに『VP』という作品はその象徴的存在となっていると感じていただけに,いくら外伝でも『VP』というブランドを考えたら「これがDSなの!?」と驚くようなものが飛び出てくることを期待していただけにちょっと残念。

ただ,トライエースも参入第1弾のソフトはスペックを活かしたグラフィックは出してくるが,必ずしもハードスペックの限界を引き出した美麗グラフィックのソフトを出してきたかといえば必ずしもそうではない。それに,これまでのシリーズと違ってフィールドが3Dかつ視点変更可能になっていることを考えると頑張ってるとも思える。

とはいえ,このシリーズにはたとえ外伝でも,たとえシュミレーションRPGとジャンルを変えれど,ハードスペックを超えたと思えるようなグラフィックで魅せられるような作りにしてほしかった。


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posted by タク at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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