2008年11月22日

[ライトノベル]モーフィアスの教室4 黄昏の王女

ラスボスである「赤い目」の登場で,いよいよ核となるストーリーが動き出すと思っていたら完結したことにちょっとびっくりな最終巻。

3巻を読み終わった後,どこぞの妖怪漫画みたいにイタチごっこが展開されることを危惧していただけに,あの手この手で延命させることがなかったのはよかった。だけど,安堵したのと同じくらい,このあっさりと終わらせたことに対してちょっと物足りなさみたいなものも感じた。

延命なしにしても,3巻のラストから一冊で完結させると思っていなかっただけに,打ち切り臭を感じるのだが,その割には話の内容自体は無難にまとめられている。直人の父親の死や,「赤い目」の正体や目的,そして「番人」のこと。いろいろと疑問に思っていたことはほとんど解消されたし,ただの設定と割り切っていたことまで説明してくれたので,痒いところにも手が届くといった感じ。

3巻で初登場した正宗のほうは,思ったとおり三角関係にうまく刺激を与えるキャラクターとして動いてくれた。おかげで直人は綾乃に対する気持ちをちゃんと整理して言葉にぶつけられるようになったし,棗のほうもうじうじした点があったものの,ラストにははっきりと変われたので,ちょっとイラつきを覚えた三角関係のキャラクターたちに対する印象が変わった。

当然正宗の印象も変わっており,うざいと思っていた考えるより先に言葉が出るという性質がだいぶ控えめになったことで,上記のようなキャラクターたちの背中を押すテンション高めのムードメーカーとしていい位置についたと思う。ただ,自慢の身体能力を活かしたアクションは「赤い目」に押され気味だったためにあまり見られず。これは綾乃のほうにも言えて,敵側のワンサイドゲームだとやはりアクションに華がなくなってしまうと実感。

その他,サブキャラのクゼーおばさんや水穂が「赤い目」に係わるエピソードも盛り込まれており,ろくに力もないのに大丈夫かいな,と思いつつも,家族が闘っているのを手助けしたいという想いで動くやつらってのは嫌いじゃないので,手に汗をかきそうになるほど食い入ってしまった。

無難にまとまり,さらにキャラクターたちも最後の最後で魅力的になったので,文句なしと言いたいところだけど,どうしてもつっこみたいのが「赤い目」の説明したがりな性格。

今回うまくまとまることができたことの要因のほとんどが,「赤い目」による解説台詞。自分が何をしようとしているのか,ここまでに至る策略が何を意味していたのか,冥土の土産とばかりに懇切丁寧に教えてくれるし,戦闘中も余裕のあらわれなのか,アドバイスをくれちゃう始末。多少の強引な展開はやもえないものの,よりにもよってラスボスを説明大好きキャラに仕立て上げてそれを為してしまうあたりに,どうにも煮えきれないものを感じた。別に前後編とか長くなってもいいので,もうちょっと「赤い目」の口を黙らせて全体を語ることはできなかったのだろうか。

そんな心残りはあるものの,綾乃と夢神の王のやりとりや,直人が綾乃を迎えに行くエピソードなど,しみじみとするラストで〆られていたので,そんな些細なことも全て許せてしまった。とにかくいい完結編だった。

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posted by タク at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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