2008年11月30日

[cinema]ブラインドネス

題材が面白そうだと思って考えもせずに釣られてしまったが,思ったより面白い映画だった。

一人の日本人男性が原因不明の盲目となったことを皮切りに,世界中の人間が次々と盲目になっていく。いかにも終末臭を漂わせる設定だが,人類滅亡とかいう絶望よりも,これまでの社会の常識が通用しなくなった極限状態で人はどうするのか,といったシチュエーション要素の強い作品。

最初は群像劇じみた作品の流れだったため,またやっちまったと心の中で軽く後悔したんだけど,その序盤は盲目になった男を中心に,やがて彼から感染して盲目となった医者と主人公であろう医者の妻で唯一盲目にならない女性の話にシフトしていき,最終的には別々の視点で描かれていた人物たちが一つに集まって集団行動をするようになる。そのため,群像劇とは違った趣。

映画全体の流れとしては大きく分けて2部になっている。
感染者を隔離するために用意された施設,さらに(主人公を除き,しかも目が見えることは黙っている)すべてが盲人である極限状態に置かれた人間たちによる弱肉強食のような社会と,そんな社会で心をすり減らし,それまで築いていた人間関係が崩れていく人間のカオスな面を描く前半。
そして,施設から抜け出し,世界中の人々が盲目となったことによって現代社会の機能が停止してしまった世界で,生き抜くために構築された新しい人間関係や,目が見えないからこそ見せてくる相手の心に向かい合っていく人間関係を描いた後半。

前半ではかなり欝になりそうな展開が続いて絶望に天秤が傾いていくのに対し,後半では前半で壊れた人間関係が修復されたり,これまで見知らぬ者同士だった人間が,目が見えないからこそ偽らずに腹を割って語り合い,心を通わせあっていく姿に,徐々に希望が見えてくる。
後半の流れはあまりにありきたりすぎるので,これ単体で観るとひどく退屈でしかないはずなんだが,前半の極限状態の社会や,無秩序と化した街で出会った犬に癒されたことがとても効果的に効いたのか,それまでストレスも感じてた登場人物たちにもいつの間にか感情移入するようになっていた。そのため,ラストでの希望の光を見せるラストシーンでは,どう考えても日本語として不自然すぎる言い回しだと思える日本人の台詞も気にならず,思わず「よかったぁ」と胸をほっと撫で下ろしていた。

そういえば,ただの日本宣伝用の飾りだと思っていた邦人2人については,脚本が悪いのだろうが日本語の台詞がめちゃくちゃ不自然というか,芝居じみたものばかりだったことには多少残念ではあったが
,思ったより大きな役割を担っていたことにびっくりした。

____________________________________
原題:Blindness
監督:フェルナンド・メイレレス
原作:ジョゼ・サラマーゴ
脚本:ドン・マッケラー
出演:ジュリアン・ムーア,マーク・ラファロ,アリス・ブラガ,伊勢谷友介,木村佳乃,ダニー・グローバー,ガエル・ガルシア・ベルナル
公式サイト:http://blindness.gyao.jp/
ラベル:映画 ドラマ
posted by タク at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。