2008年12月18日

[ライトノベル]断章のグリム\ なでしこ・下

いつもなら上下巻構成なら2ヶ月程度で次が出てきたけど,今回はちょっとゆっくりめに出てきた「なでしこ」の下巻。ラストの展開に思わず泣きそうになった。

上巻では雪乃の断章使用シーンがやたらに痛々しい描写が多いと愚痴ったけど,下巻は自重したのか,上巻ラストでカラスに喰われて死んでいた梢枝が,実はその前に首にナイフ刺して自殺してたんですよ,なシーンが冒頭にあって思わず読み飛ばしたくらいで,あとはあんまり大したことない。

一応,人のものと思われる内臓がぶちまけられて,それが人型になるとか,現場を見たらトラウマになるだろうなぁ,ってのもあるにはあるけど,ただのグロなら平気になりつつあるようで・・・。だいぶというか,ようやく耐性がついてきたという,確かな手ごたえを感じた。

もっとも気になる泡禍の全容と潜有者については,作中に出てきた言葉をまんま借りて「壮大さが減って、代わりに色々と細かくなっている感じがしますね」なオチ。2つの泡禍が同時進行していたことが明かされたときは,そんな無茶苦茶なの予想の斜め上過ぎる,と思わずケチつけしたが,何度か読み返してみれば,その結末が一番しっくりくる。よくもまぁ,ただでさえ複雑怪奇なストーリーになるのに,それを2つ同時に展開するとは・・・。その構成力にはほんと脱帽。てか,よくこんな謎を蒼衣は毎回解き明かせるなぁ。一体思考回路してるんだ。

もう一つ気になっていた千恵の立ち位置は,読んだ限りでは雪乃との対比に使われるキャラクターだったのかぁ,といったところ。お互い泡禍で家族を失ったけど,泡禍によって大勢が死ぬことになるかもしれない局面に立っても潜有者を殺すことができずに泣き崩れた千恵と,その対極にいる全てを焼き尽くす復讐者となった雪乃。果たしてこの対比で何を描き出そうとしたかったのかはちょっと分からんけど,とりあえず千恵が<騎士>としての非情さを持たなくてよかったと一安心。

この巻で一番すばらしかったのは群草のじいさん。「人魚姫」のときは無愛想なじいさん程度でしかなかったのに,今回はラストでめちゃくちゃ漢を上げててかっこよかった。それと同時に,一真との最期のやりとりがあまりに哀愁漂っていて思わず泣きそうに。まさかこのシリーズというか,この人の作品で泣きそうになる演出があるとは思わなかった。


断章のグリム〈9〉なでしこ〈下〉 (電撃文庫)
甲田 学人
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posted by タク at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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