2008年12月26日

[Xbox360]ラスト レムナント

スクエニが新たな戦略タイトルとして世界同時発売し,絶賛爆死しちゃったサガDNAを引き継ぐ次世代RPG。良いところよりも悪いところのほうが圧倒的に多いどうしようもないゲームなんだけど,数少ない良い部分が見事に琴線に触れ,時間を忘れてしまうほど楽しめた。


スクエニらしい美麗で豪華なグラフィック

スクエニ内製としては初のHD機であること,ドラクエ・FF・KHに続く戦略タイトルとして開発されただけあって,グラフィックはとても綺麗。壮大なファンタジー世界を見事にビジュアル化した細かな装飾にまで拘ったグラフィックというかテクスチャには,思わず目を奪われてしまった。ただ,RPGであるため,一画面に出てくる登場人物やオブジェクトなど情報が多いので,個々のオブジェクトとして見てみると,他のXbox360タイトルと比べてあまりすごさを感じさせない。

今回グラフィックエンジンとしてアンリアルエンジン3(UE3)が使用されているため,UE3独特というべきか,UE3を使用しているゲームによく見られる質感や光源処理が見受けられる。特に顕著なのが水に関する表現。水面の光の反射具合や,UE3がかなり苦手にしていると思われる涙の表現などはもろUE3だった。

このゲームのグラフィックで特に感心したのが,敵となる覇王やワグラム,あと覇王の部下にいたじいさんキャラといった皺が多いキャラクターの,プリレンダかと思うほど細かな皺まで描かれていたところ。獣人系や一部モンスターについてもなんで個々まで細部まで作りこむのかと不思議に思うレベルのものがあったが,皺多きオヤジどもはその比じゃない。

どれだけ綺麗で細かな装飾まで描いていても,リアルタイムレンダだと分かる周囲のキャラクター及びフィールドに対し,こいつらだけはプリレンダな世界をひた走っている。この労力を,出番の多い主人公サイドにもう少し割けなかったのかと思うが,同時にこういう渋いキャラクターに労力を割くこだわりを指示したい気持ちも。

グラフィックは綺麗で豪華,見ているだけでも飽きないのだが,その代償なのか,はたまた技術力不足だったのか,テクスチャが常に貼り遅れるという,色んな批評サイトから総ツッコミされている問題がある。

UE3を使用したゲームではよくテクスチャの貼り遅れが見受けられるが,本作のはその比じゃない。街やダンジョンに入ったとき,100%テクスチャが張られていない生ポリゴンを拝めるし,イベントシーンですらテクスチャが張られていないことが散見される。その中でもっとも驚いたのが,一度だけしか見てはいないんだけど,ワールドマップでもテクスチャが貼り遅れたこと。一度見て以降は見てないのでなんとも言えないが,それまでなんの支障もなく表示されていただけに,あまりのことに呆然としてしまった。

飽きれるとは言ったものの,それがゲームの面白さに係わるわけではないので怒りを覚えるほどのことではない。なんだけど,それでもハードディスクにインストールしてもロードに5秒くらい要したにも係わらず,3段階くらいにわけてテクスチャが張られていく様を見るのは気持ちのいいものじゃない。5秒という長いロード時間で一体何をやっていたのかと小一時間もの。

唯一,バトル移行時だけはなぜかテクスチャ完備されている(ように見えた)んだが,それも数秒のロードがあってようやくだし,どんだけロードしまくるんだよ,と。発表時に「世界で通用するブランドにする」とか大見栄切っておいて,よくこんなん出してきたもんだ。その肝の据わりっぷりに感心してしまう。

また,ちょっと気になるのが今や次世代機の3Dゲームでは常識とも思われる数々の技術が見受けられないのも気になった。正直そっちの知識はあまりないので詳しく語れるわけじゃないが,ジャギといわれるものがちょっと目立ったり,イベントシーンでは『ヴァルキリープロファイル2』でよく見かけた被写界深度シミュレーションというカメラのピント合わせの技術も使用されているところがあまりなく,3Dなんだけど奥行きなどを感じない平坦な見た目に終始していた。唯一,光源に関する処理は結構凝っており,イベントシーンやバトル時のエフェクトの見栄えを良くしていたが,それ以外がほとんどおざなり。別にハード的な限界というわけでもないし,その辺の知識がなかったということだろうか。


また,グラフィックというわけではないが,キャラクターのモーションもかなりおかしい。

リアルな等身の3Dポリゴンキャラクターになったにも係わらず,フィールドを駆け抜ける時,まるでドット絵を3Dにしたようなコマの少ないカクカクした走り方をしていた。PS時代やお金があまりかかっていないPS2ソフトならともかく,Xbox360という次世代機,しかも大手のスクエニによる大作ソフトでこれはお粗末な出来。さらに,イベントシーンでもキャラクターがカクカクな動きを見せるシーンが散見され,歩きます→方向転換します→歩きます,と一つ一つの動作をいちいち止まって動くのがあったこと。3Dポリゴンがゲームに導入されるようになって何年経ったよ,と思う。

ただ,バトル時は走ったり攻撃・防御するモーションは結構まともな出来に見えた。もしかしてバトル部分に心血を注ぎ,そこで力尽きてバトル以外の部分に手を抜いたんじゃないだろうか。そんな妄想を抱いてしまうが,それはそれとして,バトル部分さえ良ければそれで満足だったのか,スクエニって感じだ。


一つのミスが命取りとなる?大迫力の集団バトル

本作のバトルでは,ユニオンと呼ばれる部隊同士がぶつかり合う集団戦をコマンド式でやってみようという,今までにない試みがなされている。

バトルに入る前にまずユニオンを編成することになるのだが,1ユニオンあたりに割り振る人数を少なくし,より多くのユニオンを編成して担当を細かく割り振るか,1ユニオンあたりの人数を増やすことでユニオンあたりの手数やHPをより多くするか,といった判断がとても重要。

ユニオンは最終的に最大5つで,1ユニオンあたり5人を編成することが可能で,編成できるキャラクターはリーダーと呼ばれるメインキャラや能力値の高いキャラクターが6人,その他雑兵を12人の計18人となっている。また,ユニオンにはHPや技や魔法を使用するために消費するAP,攻撃力や防御力といった基本的なステータスが用意されている。そのステータス値は,編成したキャラクターや陣形に応じて変化する。

ユニオンあたりに所属する人数が少なくし,ユニオン数を多くすると,ユニオンごとの行動に小回りは利くのだが,その分ユニオンのHPも少なくなるので下手に正面対決すると撃沈されやすくなる。では,ユニオンあたりの人数を多くしてHPを高くすれば撃沈されにくくなるが,攻撃や回復行動時,何もしないキャラクターが出やすく,無駄が起きてしまう。ユニオンをどう割り振るかで戦い方,気をつけるべきことが変わってくるので,かなり頭を悩ませることになる。

また,編成するキャラクターが何を得意としているかによってもだいぶ戦略が変わってくる。技やアイテム系は行動順序が早めで,魔法は行動が遅めになる。そのため,あと一撃くらいで撃破できる相手には,極力敵に行動させないために技中心のコマンドを選択したり,敵ユニオンに所属する数が多いときは,複数体にダメージを与えられる魔法中心のコマンドを選択したりと,戦う敵がどういう編成かに応じて何が有利かを判断することが,生き残るために必要になってくる。

ユニオン編成はそれぞれのメリット・デメリットを考え,その時々にどういう戦力が望ましいか,どういう戦略でいけばいいのかを考えてユニオン編成していくのは大変だけど,大変な思いをした分だけ,見事に編成した部隊が活躍してくれたときの喜びや達成感は他のRPGと比べて何倍も感じられた。

サガチームらしく,陣形という概念が存在するのだけど,これについては説明不足すぎて何がなにやらさっぱり。一応,陣形に応じて短い説明文はあるし,陣形変更によるユニオンのステータスの変化も目に見えるのだが,それ以外にも隠し要素やら,どういった特徴をもったキャラクターを配置するのに適しているかといった情報があまりなく,ちょっと不親切。まぁ,アンサガに比べたらまだかわいいものだし,そんなものはなくてもやってのけたが,そもそもこれはサガじゃないし,世界中でヒットさせることを前提とした大作でこの不親切さはどうかと。一体海外でサガシリーズが不評な理由がなんだったのかを理解していたのだろうか。グラフィックがFFっぽければ売れるわけではないというのに……。


戦闘に入るには,フィールド上を徘徊するモンスターシンボルに近づき,RTトリガーを押してエンカウントトリガーというものを引くことで可能になる。

エンカウントトリガーで戦闘することになるモンスターのシンボルは基本的に1体だが,エイムリンクと呼ばれるシステムを使うことで,複数のシンボルをロックオンして同時に倒すことも可能になるが,製作者曰く「ザコでも30分かかる」といわれるくらい大量のモンスターとの神経をすり減らしてしまう長期戦を要することになる。その代わり,戦闘に勝利したときの報酬は1体だけ倒すときよりも圧倒的に多く,キャラクターの成長率も高いし,長期戦を制した瞬間は,ラスボスを倒したときと同じくらいの達成感を味わえた。なので疲れたと思いつつも,ついついまた大群との戦闘に興じてしまった。

なお,エンカウントトリガーを引かず,モンスターシンボルにぶつかってしまった場合は,たとえ後ろからでも自分からぶつかっても奇襲された扱いとなる。

戦闘を繰り返すとバトルランクというものが上がっていき,見た目が同じでも強さやAIが違ったり,それまで見たことのないモンスターが平然と徘徊するようになり,ザコ相手でも全滅するかもしれないという難易度にまで上り詰める。しまいには狭いフィールド上に何体ものドラゴンが徘徊するまでに至り,1体だけでも苦戦するのに,下手に立ち回ったらドラゴンを複数相手するはめになるという苦行を強いられる。この当たりはいかにもサガって感じだ。

さて,戦闘に入ってからの話をすると,戦闘時はキャラクターごとではなく,ユニオンごとにコマンド選択するという大胆な簡略化を図っている。選択できるコマンドは,編成されたキャラクターたちが使用できるコマンドに応じてAIが自動に決めるようで,技や魔法を使うために消費するAPの蓄積量,各ユニオンのHP値,またモラルという敵味方の戦況の有利不利に応じて刻々と変化していくユニークなものになっている。

最大18人のコマンドを選ぶという煩雑な作業を行わなくて済むのはありがたいし,コマンドの内容も「技を使え」「魔法を使え」「回復しろ」といった曖昧(ユニオンの所属キャラクターがどう行動するかはちゃんと見られる)な指示になっていて,いかにも指揮している感じがして面白い。だが,ボス戦や敵ユニオンが大量に出ているなど,こちらの受けるダメージが大きくなるであろうという場合に回復役を待機させておきたいと思っても,望みどおりのコマンドが出てこないことも一度や二度どころではなく,よいことばかりでなく,デメリットもあった。


また,コマンド選択後はただ成り行きを見ているだけでなく,クリティカルトリガーという一種のクイックタイムイベントが発生する。

クリティカルトリガー発生時,指示されたボタンをタイミングよく押すことで味方の行動順序を早くしたり,クリティカルの発生率が上昇したりする。また,カウンターも発生したりして,クリティカルトリガーを成功させることでより有利に戦闘を進めることが可能になる。というか,バトルランクが上がっていくに従い,むしろクリティカルトリガーの成否が戦況の有利不利を左右するほどの比率になっていくので,戦略性の高い要素になっていた。

勝ち残るための戦略に強く結びついている一方,クリティカルトリガーというものがあるために,いくらユニオン単位でコマンドを選択しても,結局は一人一人の行動を見ないといけなくなってしまっている。自分はバトルをより盛り上げる要素として歓迎したが,人によっては無駄と思える部分を強要する結果にもなっている。


その他,ユニオン同士が1対1になったときに発生するロックアップやら,ロックアップ中の敵(味方)に攻撃をしかけることでサイドや背後から反撃されず,またロックアップよりダメージ量が多くなるサイドアタックなど,戦闘の位置取りも重要になるのだが,これもまたコマンド選択の簡略化のデメリットか,移動する位置を自由に決定できないというものがあり,範囲攻撃をしかけてくる相手に対して,できるだけ位置を分散させておきたいのにそれもままならないということもあって,結構もどかしい思いをした。せめて,『グランディア』のようにどのあたりに移動するか,といったことを決められるようになってくれてたらよかったのだが。


大胆な取捨選択ややり込み要素

『ラストレムナント』はワールドマップから行きたい街やダンジョンを指定するロマ・サガ方式,街では街全体を歩くのではなく,行きたい地域を指定して行動する場所を限定したアン・サガをよりグラフィカルにした方式を採用している。戦闘部分もさることながら,こうしたところからもサガ臭が感じられる。

サガといえば,街中で会話しているとメインシナリオとは関係ない場所にいけるようになっており,完全なフリーシナリオってわけじゃないが,ある程度自由度もある。ここら辺もサガっぽさを感じた。

サガっぽいとかは置いておいて,この移動方式ってRPGではあるようで実はサガ以外ではあまりお目にかかったことがない。これの利点としては,やっぱり街全体を歩き回るのではなく,必要な場所だけを探索できるという無駄を省くことができることで,このゲームではさらにもう一歩大胆な取捨選択が行われている。

それは会話できるNPCが限定されていることで,会話可能なNPCは噴出しが出てくるようになっており,さらに噴出しの囲みが白い場合は他愛ない日常会話,赤い場合はクエストやサブイベントに絡んだ会話であるサインになっており,総当りで会話せずともクエストの請負やサブイベントが進行するかの判断できるのはよかった。

やり込み要素については,パブで噂話を聞いたり,街の人に話しかけることでダンジョンを探索したり,クエスト専用のボスを倒したりといったミッションを請け負うクエストや,仲間を雇うことができるギルドでは,アイテム採取やレアモンスター退治を任意で達成することでクリアとなるギルドアドベンチャーというミッションが用意されている。

ギルドアドベンチャーについては,レアアイテムやらレアモンスターについては出すまでが一苦労で結構きついのと,レアモンスターも大して強くないという点からあまり達成感がない。クエストのほうは,下手したらラスボスよりきついんじゃないかってくらいのボスが登場してきたりして,やり応えたっぷりなのもあるにはあるが,ダンジョン探索の場合,それなりに広いダンジョンなのにどこへ行くべきかが明確になっていないので,わかっていれば10数分程度で終わるクエストも,ダンジョン徘徊するためかなり長い時間を要してしまい,結構疲れてしまった。

それぞれ数は多くあれどやっていることはバトルか探索だけと,かなり単調。これでは水増しと言われてもしょうがないかな,って気にもなる。

あと,アイテム採取ではドリルというコミカルなキャラクターが採取ポイントでアイテムをせっせと取ってきてくれるのだが,アイテム採取よりも,ドリルのかわいらしい?健気な働きぶりが見ていて楽しかったのと,ドリルが仕事をこなしいる間,一体誰がこれを見ると思ったんだと思ってしまった主人公の表情がいちいち変化する様をみて楽しんでいた。

その他,レアなアイテム収集やら武器・防具といった装備品の生成・改造など,コレクター要素もかなり強く,やり込めばいくら時間があっても足りないってくらいのボリュームがあった。正直,攻略本とかがないとコンプリートは無理なんじゃないだろうか。


技術力のなさを露呈してしまった数々の汚点

グラフィックは豪華で綺麗なので次世代機のゲームとして誇ってもいい。ゲームとしての面白さの根幹であるバトルシステムはとても面白かったし,ドリルによるアイテム収拾要素や装備品の生成には熱も入った。遊びがいのある難易度もあって,非常に楽しむことができたし,大胆な取捨選択も感心した。だが,それら面白かったり感心する要素を快適に楽しむための下地が圧倒的にダメすぎ。

フィールド切替は10秒以上,バトルへの切替も5秒近くかかる『ロストオデッセイ』に匹敵するロードの長さ,そんな長時間ロードがあったにも係わらず,造形も細かく綺麗で豪華なグラフィックだが狭いマップでありながら常に起こるテクスチャ貼り遅れ,たとえ1体しか敵がいなくてもガクガクになるフレームレート,PS2どころかPSソフトかと思うほどのキャラクターのモーションなど,数多くの技術的な問題が続出。面白いと思ってがんばって作りこんだゲームデザインが実はつまらなかった,というならまだチャレンジした結果ゆえの失敗だから良かったが,これはそれ以前の問題で,これまでグラフィックの綺麗さですごいすごい言われてきたけど,それ以外については実はさっぱりだったという,スクエニの技術力の低さを露見するはめになっている。

これまでもグラフィックは綺麗だけど,ロードが長かったり,処理落ちするスクエニ製のゲームでよく見かけたものだが,その中でも本作はダントツのひどさ。はっきり言って,お金を出してプレイするユーザを「どうせ文句いってもまた買ってくれるさ」と完全に馬鹿にしているか,何も考えてないかのどちらかにしか思えない。バトルが面白くてグラフィックが綺麗なら,他の要素は犠牲にしても平気という体質でもあるのだろうか。

新しい試みに挑む攻める姿勢はよいし,荒削りでいろいろ注文したいことは山積みであるものの,十分に楽しめたのでよいが,プレイ環境が最悪なのは擁護しようがない。昔なら,どんな出来でもある程度のスクエニファンが買ってくれたからよかっただろうが,今は時代が変わってきてるということを十分に理解してもらいたい。もうスクエニタイトルというだけで50〜100万売れるというバブル期はとうに過ぎ去っているのだから,ユーザに甘えず,ましてや会社の戦略タイトルであったことをもっと自覚して,もっと真摯にゲーム作りに励んでもらいたいものだ。


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posted by タク at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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