2009年01月15日

[ライトノベル]電波女と青春男

この作者の作品を読むのは『みーまー』の1巻以来。あのときは主人公の「嘘だけど」のワンパターンさに面白みを見出せず,結局1巻で切ったわけだが,今回のコレは,そのときのマイナスイメージを吹き飛ばすくらい楽しませてもらった。

田舎から都会に出てきた主人公の真が,居候することになった親戚の叔母の家で遭遇した自称宇宙人の簀巻き美少女・エリオと共に行動し,やがて更正させるという内容。電波という属性は持たなくとも,引きこもり人間を更正させるというネタはありがちっちゃありがち。

真は饒舌かつ毒舌,さらにハイテンションで熱血という,なんだか昔の妖精さんがマスコットのエロゲ会社の主人公みたいなやつだけど,ただそれだけだと,また『みーまー』みたいな読んですぐ「あっそ」で終わってしまう。だけど,今回はそうならず,最後まで楽しく読み続けるにたる魅力を感じられた。

もしかしたら『みーまー』の1巻でも同様のことがあったけど気づかず通り過ぎてたのかもしれないが,この作品,作者の作品(今のところは『みーまー』だけだけど)やらアニメやら映画やら,とにかく色んなところからネタを引っ張ってきて,キャラクターたちのボケとツッコミに流用されている。この手のパロディネタは,やりすぎるとツボに嵌るかうざいと感じるかの極端な分かれ方をしがちだけど,どうやらうまく嵌れたようで,分かるネタ,分からないネタ含めて楽しめた。

また,パロディネタ以外のところでも,言いたい内容が分かると「無駄な想像力を駆使してしまった……」と一瞬悔やんでしまいそうになる遠まわしな表現の数々が読んでいて妙に心地よい。とはいえ,結局のところ普通の文章で書いたらものすごくつまんない内容をやってるから,表現の奇抜さでつまんないネタを面白おかしく表現してその場を凌ぐっていう誤魔化しのようにも感じられる。この辺って『みーまー』の「嘘だけど」の連発にも通じるものがある気がするが,今回鼻につかなかったのは文章の好みが変わったのか,許容の器が大きくなったということざんしょか。

キャラクターの個性も色とりどりで,主人公は真人間っぽいけど実際はエロゲ主人公的なやつなんで結局は変態チックだし,ヒロインのエリオはまぁ電波女というだけあって言動もさることながら,布団で上半身を覆いながら生活をするという,見た者にトラウマを与えるようなインパクトを持ってる。「39歳」であることを強調する叔母の女々も,はしゃいだ迷惑この上ない歳上キャラのくせに肝心なところでまともな母親というギャップ萌えキャラだったり,萌えキャラ要因と思われる同級生の女子二人も片や見た目はまともだけど中身やばそうだったり,変なコスプレやら言動はやばいけど,中身の芯の部分はまともそうな長身虚弱キャラだったり,エリオ抜きでも十分変なストーリーを組み立てまくれそうな感じ。

ただ,キャラクター同士のやりとりがどうにも似たり寄ったりに感じてしまうのが難点か。登場する女性キャラ4人との掛け合いは,4人中3人があからさまに変な言動なんで常に真が饒舌かつ毒舌なツッコミを展開し続けるし,唯一まともと思われたリュウシさんとの掛け合いも,前者3人と比べてツッコミは弱いものの,結局は強弱の違い程度のもの。あと,女性キャラの言動がある一定の線を越えると似たり寄ったりに感じられたのもちょいマイナスだった。もうちょっと個性を活かした書き分けがほしかったかな。

文章の奇抜さ,キャラクターの奇抜さも結構楽しめたけど,もっとも良かったと思えたのが,この作品で一番意識したんだろう『E.T.』ネタを盛り込んだエリオとの交流と更正劇。パロディ映画なら分かるけど,ラノベみたいなもので有名映画を持ってくるというところにまず惹かれたし,エリオの更正までの道のりにはカタルシスというものはなかったけど,ラストの一文で清々しい終わり方をしたので,読み終わった時にはなんだか晴れやかな気持ちになれた。

一度は挫折した『みーまー』だったけど,もう一度チャレンジ一年生(作中で"二"年生ってなってたのは,真が高校2年生という設定だからあえてそうボケたのかな?)してみようかなって気にさせてくれた。


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posted by タク at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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