2009年01月22日

[ライトノベル]獅子の玉座<レギウス>V 妖精楽園

さらなる試練を乗り越えて深まるレオンとアリアンの絆。それと同時に,神々の秘された逸話,そして女神エウレネの思惑の片鱗を見せた3巻。よい感じにストーリーもキャラクターも王道ファンタジーになって面白くなってきた。

1巻では元海賊の傭兵と王族という互いの地位の違い,価値観の違いからぶつかりあいつつも,内に秘めた信念に惹かれあってきたレオンとアリアン。2巻ではアリアンの理想を守るための騎士となり,試練を乗り越えたことでまた一つ絆を深めてきた。
そしてこの3巻では,相手に対して抱いていた感情が"恋"であることに気づいた二人。だけど,身分の違いや,いずれ政にために他国の王族と婚姻を結ぶことになるアリアンにとって,それは決して叶うことのない感情。

己が抱く感情の正体に気づいてしまったが故に,レオンを失うことに恐れ,弱さを見せたアリアン。そして,たとえ自分の想いが叶わなくとも,自らの信念を曲げてでも彼女をそばで守り続けることを決心した強さを見せたレオン。

これまでも弱さは見せていたけど,どちらかといえば強さのほうが目立っていたアリアンだっただけに,強さと弱さという分かりやすい対比が出てきたことにはちょっと驚いた。だけど,こういう弱さが出てきたことで少女らしさというか人間らしさを感じさせるようになったのはとてもよかったし,アリアンが弱い少女の立ち位置に立ったことで,レオンがアリアンのそばにいるための居場所を求めるきっかけのようなものにもなったので,よい展開だった。
あぁ,でも,「誓おう、俺の聖王女」とかいう,かっこいいけどこっ恥ずかしくなる台詞をさらっと口にするレオンというのはなんとも違和感が(笑)。その後,またアリアンと軽口を叩き合っていたのは相変わらずだったけど。


2巻ではレオンに励まされ,セレネを救うことに後押しされていたメルキオだけど,今回は逆の立場になってレオンの背中を押す側に。多少軽いノリもありつつも,愛する女性に素直な気持ちをぶつけられるようになった彼だからこその説得力ある一言一言がとても印象的だった。

他にもレオンとアリアンの関係を見守る仲間たちや,妖精楽園で出会った妖精小人リリピティエンや樹守であるハーヴィンなど,各々の人間関係だけでなく,短いながらも彼ら一人一人に用意されたエピソードが巧みに後の展開の伏線となっており,2巻で感じた無駄なく繋がっていく感覚がとてもよかった。

あと,不満を感じていた神話でしか語り継がれていない太古の神々の逸話や,女神エウレネに隠された思惑など,盛り込まれていた謎に対する回答の片鱗が顕わになってきたのもよかった。


レオンたちの話とは別に,宿敵ユーサーの話が並行で語られるのだが,果たしてレオンたちの話に割ってまで入れないといけない内容だったのかがちょっと疑問。

ユーサーを王と選定する少女・キアラの登場,彼の部下の一人が実は神々の僕であったことが明かされたりと,今後の展開に重要な位置を占めるであろうと同時に,レオン側との対比するような構図が語られているので,語ること自体は無駄ではない。でも,2巻ではまったく気にしなかったが,ユーサーの自国での活動や出会いなんかは,レオンたちとリアルタイムに並行して語らず,短編とかユーサーサイドとして1つにまとめて語ったほうがスマートだったんじゃないかな,と思う。

とはいえ,語られるボリュームはそれほど多くないこと,あくまでこの作品はレオンとアリアンのことを語る作品であることを考えると,多少強引でも幕間として語るのが正しいのかも。ちょっと悩みどころだ。


獅子の玉座「レギウス」〈3〉妖精楽園 (電撃文庫)
マサト 真希
アスキーメディアワークス
売り上げランキング: 3175
posted by タク at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/113014693

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。