社会の裏にはバグと呼ばれる人類の敵に対抗する存在−−救済者。救済者を育成するためのゲームに巻き込まれた少年と救世者候補となる少女のお話なんだが,なんというか土橋氏の作風と設定がマッチしてないんじゃない?と思わずにはいられなかった。
今回もなんの前情報もない状態でゲームに放り込まれ,限られた情報からゲームに隠されたルールやらなんやらを自らが見つけ出していき,同じ環境下におかれたプレイヤーとの駆け引きが展開されたり,相変わらず女性キャラに対するセクハラがあったりと,タイトル名と変更のかかった設定以外何一つ変わってない。前作とちょっと違うかなってところは,遼一と奈々の人間関係というか信頼を築いていく過程に若干比重がかかっているかなってのと,物語の進行に合わせて敵味方が変わっていく腹の読み合いがなく,味方は最後まで味方だというプレイヤー同士の立ち位置が複雑じゃないことくらい。
徐々にゲームの全貌が明らかになっていくにつれてプレイヤー同士が衝突(今回は殺し合い)が始まり,油断できない緊張感ある状況に追い込まれていく過程がテンポよく描かれるのでぐいぐいと物語に引き込まれるし,このゲームを行う真相が炙り出された瞬間は,意味があまりないと思われたシーンが意外な形で伏線となっていたことに驚かされた。
それに,遼一とヒロインの奈々やその他ほどほどにバリエーションを揃えた女性陣との会話は,土橋氏らしくセクハラ発言も交えたウィットに富んだもので,セクハラ発言も物ともせずに自然と会話をする女性陣も含めて楽しめた。
ただ,このゲームを題材にした作風が救済者を育成するという設定にマッチしていたかというと否。まず生死をかけたゲームありきで始まり,そこから作者がやりたかった話を,作風に合う合わない関係なく無理やり肉付けしていったという印象。なもんで,面白いかつまらないかと言われたら面白かった,だけどなんか違うんだよなぁって思いを読んでいる最中ずっと抱く結果に終わってしまった。
ラプンツェルの翼 (電撃文庫)
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土橋 真二郎
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