2009年03月21日

[cinema]ダウト あるカトリック学校で

トニー賞とピュリッツァー賞を受賞した舞台劇の映画版。観たい映画の席が売り切れだったので,せっかく映画館に来たんだし何か他のものでも……と適当に選んだわりには結構面白かった。

舞台となるのは,1960年代のニューヨークにある神学校。ストーリーは,神父と学校初となった黒人生徒が密会し,その密会後に二人が不審な行動を取ったことから疑惑を抱いた校長と若いシスターが,密会で起こった真相を解き明かすというもの……なんだけど,映画の中ではその真相は語られない。

この映画で描き出しているのは,疑惑によって浮かび上がる人間の本性。その三者三様というか,この疑惑に関係し主義主張をぶつけ合う各々の立場というものが,多少オーバーながらもリアリティがあって面白い。

生徒が飲酒していたことを語り,疑惑については否定するも曖昧な態度に終始し,グレーなものはグレーのままでもいいのではという神父。そんな神父の態度でますます疑惑の念を強くし,神父と生徒の間に関係があったという自分が信じることを証明するため,徐々に行動をエスカレートさせていく校長。最初に疑惑を持ったにも係わらず,自体がややこしい方向に向かい始めるに従い怖気づき,面倒ごとに巻き込まれるのはごめんとばかりに投げ出す若いシスター。そして,真実よりも自分の子供によくしてくれるという事実だけで十分という態度を貫く問題となった生徒の母親。

上記4人の立ち位置は,個人としてみると極端な意見もあってオーバーすぎるきらいがあるけど,疑惑によって置かれる人が行動しうるものを大きく分類したものとして見れば,登場人物たちにうまくその縮図がはめこまれており,そのあたりにリアリティというものを感じる。

配役された出演人も結構なもので,アカデミー賞にノミネートされた若干校長演じるメリル・ストリープは,ややハイすぎてついていけない部分もあったりはするが,それを差し引いても厳格な女性というものを熱演しているし,フィリップ・シーモア・ホフマンに至っては男色があっても不思議じゃない怪しさや,少年を魅了しても不思議じゃない妖しさがあり,なんか色んな意味で怖い。

主演二人があまりに濃すぎて目立ってない感はあるが,若いシスターを演じた女優さんや生徒の母親を演じた女優さんも,二人に負けまいとする気概が感じられてよかった。

ラストで神父は神学校を出ていったものの,結局のところ,それが疑惑が本当だったのか,はたまた疑惑を強くしていく校長についていけなくなったせいかは,観客側からも分からずじまい。真相を隠したままにしたのは,観客にもどの立ち位置にいくかを考えさせるためだったのだろうが,最後くらいはすっきりさせるために真相を明かしてくれてもよかったかなぁ,と思う。ま,これはあくまで愚痴だが。


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タグ:映画
posted by タク at 23:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 2009年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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