2006年12月21日

[cinema]武士の一分

監督:山田洋次
脚本:山本一郎,平松恵美子,山田洋次
原作:藤沢周平
撮影:長沼六男
音楽:冨田勲
出演:木村拓哉,檀れい,笹野高史,桃井かおり,大地康雄他
公式サイト:http://www.ichibun.jp/


東北・海坂藩に仕える三十石の下級武士である三村新之丞は,城下の道場で剣術を極め,藩校でも秀才と言われながらも藩主の食事の毒見役に甘んじていた。
毒見役という仕事に不満を持ちつつも,妻の加世と父の代から三村家に仕える徳平と慎ましくも笑いの絶えない生活を送っていた。そんな新之丞は,藩での仕事をやめていつかどんな身分の者でも剣術を習うことができる道場を開くという夢を二人に話す。

そんなある日,いつものように藩主の食事の毒見をした新之丞が,貝の毒によって倒れてしまう事件が起きる。
一時は藩主暗殺の可能性が疑われるも,食事係りの不手際によるものであったことが判明し,食事係りの責任者である樋口作之助が切腹することとなった。

幸いにも命を取りとめた新之丞だが,目覚めた時には自身の目が見えなくなっていることに気づく。そのことが後に新之丞と加世に思わぬ亀裂を生じさせることとなる――。

感想:
山田洋次監督,藤沢周平原作の3作目。これまで真田広之,永瀬正敏と映画界で活躍している俳優を主演に迎えていたのに対して,今回は映画では実績があまりない木村拓哉。どうにも主演が時代劇は合わないんじゃないかね,という感じがしないのでちょっと不安に思っておりましたが,不安視するほどおかしくもありませんでした。

過去の藤沢作品で描かれていたのが"下級武士""身分の違いによる恋愛"というテーマがあったのに対して今回は"夫婦の愛"がテーマ。主人公が途中で盲目になってしまったりするが,本作においてはその設定はあまり活かされているように思えない。あくまで夫婦の仲に対して亀裂を入れるためのフラグ立て程度にしか機能してない。

クライマックスの方では,これまでの過去2作同様に一騎打ちをするシーンが入っているが,生きるか死ぬかという緊迫した雰囲気を出していた前作たちに対して今回はそれが伝わってこず。また,盲目という設定による緊張感などがあるのかといえば全くなしで,むしろあっさりと終わってしまった印象。木村拓哉の殺陣についてはわざとらしさもなく上手いなぁ,と思いつつも一騎打ちがかなり短いせいであまり楽しめることもなかった。

夫婦愛というテーマについても,何故主人公が妻を溺愛するのかがいまいち分からない。一度だけ,二人の過去について台詞では語られ,昔馴染みであることは分かるものの,ではその長い時間寄り添ってきた二人の親密さや信頼が作中で感じることができるかといえば,あくまで台詞の領域では分かるが,しぐさや表情などからはそういったものが伝わってこないためになんだか台詞だけが空回りしているような印象である。

本作が山田監督の藤沢作品の3部作の最後として宣伝されていたりするが,3部作のトリを飾るにはちと荷が重すぎるのではないかと思う。
posted by タク at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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