2007年08月22日

[cinema]消えた天使

原題:The Flock
監督:アンドリュー・ラウ
脚本:クレイグ・ミッチェル,ハンス・バウアー
製作:アンドリュー・ラウ,フィリップ・マルチネス,エリー・サマハ,ジェネット・カーン,アダム・リッチマン
出演:リチャード・ギア,クレア・デーンズ,ケイディー・ストリックランド,アブリル・ラビーン
公式サイト:http://www.kieta.jp/

つい最近『傷だらけの男たち』で軽く失望させられたばかりだったアンドリュー・ラウ監督のハリウッド進出第一弾。ハリウッド第一弾ということではりきってるのか否か分からないが,良くも悪くもストーリー先行だった『インファナル〜』や『傷だらけ〜』と違って,映像作家らしい視聴技術に凝った作品になっていた。

本作はアメリカの性犯罪を題材とし,行方不明の女性が性犯罪者に攫われた可能性があるとし,性犯罪者が再度犯行を犯さないかを監視するベテラン役員を主人公とし,彼の付き人となった新人役員と共に彼らが担当する地域の性犯罪者から犯人を捜すという代物。
こういう題材だと,ささいな証拠を積み重ねて犯人を暴くミステリーと,犯人の不気味さを強調するサスペンス風作品のどっちでもおいしい題材になるのだが,本作は映像に淡い色と粗目を取り入れたり,暗い場所でも不安になるような色調をもたせ,またフラッシュの多用をすることでこの先どんな展開が待ち受けているのかが分からず,(レクター博士なんて出てないけど雰囲気が)『羊たちの沈黙』を思わせるかのようなかなり緊張感を感じさせるサイコ・サスペンスに仕上がっており,『インファナル〜』よりもずっと好みだった。

ただ,映像に懲りすぎたのか,それとも脚本段階から映像に凝るようにしていたのかは分からないが,犯人に辿り着く道程などの伏線張りやストーリー展開が練り不足なせいか,行き当たりばったりで捜査したのに何故か犯人に辿りついたという唐突さを感じた。いや,むしろ主人公のベテラン役員が,最初から犯人はこいつだと思いこみ,それが結果的に合っていて辿り着いたというほうが正しいか。どちらにしろ,綿密な捜査や推理などが展開されることもなく,ミステリーとして期待すると落胆してしまいそう。

ストーリー的に練り込み不足とは言ったが,その強引さに説得力を持たせるという意味では案外説得力があったりもする。というのも,リチャード・ギア演じる主人公が冒頭からして性犯罪者を訪問した際,その男に挑発的な質問をしたり,それに答えないとぶん殴ったりするし,さらには担当外からきた性犯罪者が来ると,その夜に覆面をして通りを歩いているそいつにリンチしたりとかなり破天荒というかぶっ壊れ気味。そんな危ないキャラクターが妙にリアルさを伴っており,こういう奴なら犯人はこいつとか思いこんでも当然かもしれないと思わせる。だが,そんなぶっ壊れキャラにもさりげなく過去のエピソードでの傷を見せたり,不器用ながらも被害者を守ろうとする意志だけは本物であると感じさせることで人間味を見せている。その辺はこれまで手がけてきた泥臭い男たちの物語を描いてきただけのことはある。

そういやアブリル・ラビーンが出ていたけど,あれはカメオレベルの扱いだろうとしか思えなかったとだけ最後に言っておきたい。意味は特にないけど……。
posted by タク at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 2007年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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