2007年09月13日

[novel]DDD 1

DDD 1DDD 1
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] DDD 1
[著者] 奈須 きのこ
[種類] 単行本
[発売日] 2007-01-10
[出版社] 講談社


TYPE-MOONのライターとして活躍する奈須きのこ氏がファウストで連載していたものをまとめた新境地とも言える新伝奇小説で,KODANSHA BOX編集長の「この人は、やっぱ天才だわ!」といううざくて痛々しいメッセージシール付きである。

これまで発表されてきた奈須氏の作品にはどこかしら"魔法"などの西洋ファンタジー的な設定好きが好みそうな設定を積極的に取り入れ,それを日常世界に組み込むということを作風にしてきたように感じていた。ただ,そういう設定の凝ったものと日常が必ずしもうまく歯車が合っているわけではなく,日常の中の異常よりも,異常の中の日常という感じになっていて,作中で描かれる日常が妙に退屈なものを感じていた。
しかし,今回は"悪魔憑き"と設定によるものなのか,ファンタジーな要素以上にマニアックでオカルト寄りになったことで雰囲気・表現重視という感じがした。そのため,日常世界もうまく雰囲気に飲み込まれており,退屈するということが起きなかったというのが読み終わっての率直な感想。その分,異常のほうに関しては地味にはなっているのだが……。

構成としては中編エピソードが時系列無視で散りばめられており,これはいつの話なんだろう? という感じに最初陥る。だが,それの救済処置としてか事件の年表があったりするので,時系列をバラバラにしているわりには慣れればいつの話なのかを把握できるようになっていたりする。逆に言えば,年表がなかったらさっぱり分からないんだけど……。そんなことを嘆いていてもしょうがないので,以下,各エピソード毎に感想。

J the E

一番最初に描かれたエピソードのせいか,時系列としては後のほうにきてるわりに悪魔憑きとは何か? とか主人公たちのことなど,この作品の肝となる設定について説明してある。
ここで好感が持てたのが,説明は最低限にとどめていてくどくなかったこと。ライトノベルや設定に凝りました的エロゲとかだと説明がづらづらと書きつづられて,それだけでうんざりしそうな設定にもかかわらず,あくまでも基本的な説明だけにとどめいる。あとは作中での人物たちの行動でどういう人物だとか,悪魔憑きってどういうものなのかを表現してみせており,それがうまく機能しているのだ。

また,悪魔憑きを退治するという仕事を主人公が請け負っているわりにはあくまで給料がいいっていうだけであり,そのわりには主人公がめっちゃ弱く,やることは謎の生物・憎悪ちゃん(仮名)が悪魔憑きと対峙し,活躍?しているだけ。なんとも拍子抜けな感じなのだが,あまり正義の味方だとか,飄々としていても主人公強いんだぜってならないし,気づいたら自分は助かってました的な展開も面白い。それと,主人公がある事件によって恐怖というものを感じなくなったという性質を持ち合わせていることにより,命の危険が迫るようなホラー的要素のただ中に突っ込むことにも妙な説得力……はないんだけど,下手に正義感やら恐怖してるわりには演出上一人で突っ込むとかいうわざとらしさよりはずっと納得させられるものがある。


H and S

こちらは(R)と(L)という副題じみたものがついて前後編になっているんだけど,「J the E」がホラー要素ありの雰囲気重視だとしたら,こちらはサスペンス調で表現面の重視といったところか。

前後編のわりになんで(R)(L)って分け方なのかな?って感じで,まぁ,"Right""Left"のことだろうと単純に考え,それが意味するところをまるで考えていなかった。このエピソードのミステイクを引き起こす仕掛けを知った時,分かっていたのに意味を考えなかったことを激しく後悔。これには読んでいて完全にやられたーって感じ。

雰囲気重視と表現重視の2つのエピソードを読み,さらにこの後に書かれたエピソードも合わせて,方向性が違うわりにはそれぞれがうまくこの小説の世界に嵌っているなぁ,と感じた。なんとなく,下手なファンタジーよりも色々なことができる設定かもね,"悪魔憑き"っていう設定は。


formal hunt

これは書き下ろしということもあってなのか,だいぶ毛色が違うように感じた。というか,悪魔憑きとなって怪力女と化した主人公の妹と,一軒家でも容赦なく銃火器をぶっ放す戸馬さんの対決があるせいでアクション要素が強くなっており,雰囲気とかそういうのは完全無視。どっちもぶっ飛んでる妹か戸馬さんのどちらかに萌えましょう的なものを感じ取ったわ。
ラベル:伝奇 ノベル
posted by タク at 01:28| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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