2007年09月24日

[cinema]題名のない子守唄

原題:LA SCONOSCIUTA/THE UNKNOWN WOMAN
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
製作:ラウラ・ファットーリ
脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ,マッシモ・デ・リタ
出演:クセニア・ラパポルト,ミケーレ・プラチド,クラウディア・ジェリーニ,ピエラ・デッリ・エスポスティ,他
公式サイト:http://www.komoriuta-movie.com/


邦題からほのぼのとしたホームドラマものだと思っていた。だが,そんな予想を初っ端から打ち砕く衝撃が待ち受ける映像が飛び出しきて,終始緊張感が漂うミステリーをふんだんに撒き散らした作品だった。

冒頭からして過激で,仮面をつけた下着姿の女性が入れ替わりで並んでるかと思ったら金髪の女性が悲惨なまでの映像が瞬間的にフラッシュされていく。そんなショッキングな映像のあとにウクライナから来たというイレーネが出てくるのだが,イレーネとさっきまで出てきた金髪女性が一体どう関連するのか,とか,金細工工房となっているアパートの向かいに入居し,アパートを監視したり,アパートの家政婦に立候補したりと,色々謎が多い。まったくもって何が起きるのかが分からない状態。

最初こそ既に家政婦がいるので雇われはしなかったが,週に数回だけアパートの掃除係として雇ってもらえることになり,その仕事の中で仲良くなったアパートの家政婦から部屋の鍵を盗んでアパートの主であるアダケル家の部屋に潜り込んだり,家政婦を階段から転落させてまんまと家政婦として雇われるようにしたりと,色々黒いことをしまくるイレーネ。その間にも過激なフラッシュバック映像が何回も挿入されており,その段階ではアダケル家に怨みがあって復讐するのか? という感じで見ていた。

目的がなんなのかがまったく読めないイレーネだったが,やがてアダケル家の一人娘が出てきてから物語が大きく動き始め,フラッシュバックがより鮮明になり,イレーネがどういう過去を送ってきたかというのが分かり,これは復讐などではなく,自分の子を取り戻したい一心で行動する母親の物語なのだと気づく。

イレーネがどういう目的を持っているのかが分かると,今度はイレーネの周りをうろつく男の影がちらついてくる。ここら辺からサスペンス色が強くなってきて,それまで以上の緊張感を漂わせてくる。

そんな緊張感が続く中,ある事件をきっかけにイレーネが自分の過去を告白するシーンが出てくるのだが,そこで分かることは何故彼女が悲惨な過去を追うことになったのかとか,近づいたのが何故金細工工房の家族だったのか,という程度で驚きみたいなものはない。むしろイレーネという存在がいかに浅い考えを持って愚かしいことをやってきたか,ということが赤裸々に語られるだけで,同情や肯定をしようとはとても思えない内容。だが,彼女が体験してきた境遇とそんな過去に堪えて生きてきたイレーネの強さというものを強く感じさせる。そして,その強さを見てきたからこそ,彼女が何よりも欲していたささやかな幸せを手に入れたであろうラストに大きく感情を揺さぶられた。
posted by タク at 18:38| Comment(2) | TrackBack(10) | 2007年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとう。
イレーネは、ほとんど逃げることの出来ない環境の中で、売春→出産を繰り返させられてきたんだと思いますけどね。
Posted by kimion20002000 at 2008年06月25日 22:13
こちらこそTBありがとうございます。

確かに彼女には逃げ場というものがなくなっていたんだと思います。
ただ,そこに無邪気に飛び込んでしまったことも事実だと思いますので,そこが同情できないなぁ,と感じました。
Posted by タク at 2008年07月19日 20:37
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