2007年10月20日

[cinema]キングダム/見えざる敵

原題:The Kingdom
監督:ピーター・バーグ
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
製作:マイケル・マン
出演:ジェイミー・フォックス,クリス・クーパー,ジェニファー・ガーナー,ジェイソン・ベイトマン,ダニー・ヒューストン,アシュラフ・バルフム,他
公式サイト:http://www.kingdom-movie.jp/

中東のテロリストとFBIという構図からいつものアメリカ万歳な映画だとばかり思っていたら,そんな万歳なぞどこ吹く風。中東とアメリカの政治的関係を色濃く取り込んだ社会派アクション大作に仕上がっていた。

この作品では,中東問題などの政治色が盛り込まれているため,そういう政治的な知識というものがないと疑問に思うような箇所が多々ある。FBI捜査官がサウジアラビアに滞在中にテロで殺されたことで捜査をしようにも米国側が何故か動かなかったり,ただのFBI捜査官の一人にすぎないはずのジェイミー演じるロナルドがサウジアラビアのお偉いさんを呼び出し,自分たちを入国させるように脅しをかけて成功するなどなど,アメリカ万歳して真っ先に報復にいかないの? とか,なんで脅迫が成り立つの? とか,疑問に思うところが色々見受けられる。
何も知らないとそんな印象を抱くんじゃないかと思うのだが,そういう人でもなんとなく本作でのやりとりを理解できるように,という配慮なのだろう,オープニングで中東とアメリカがどういう関係なのかが年表で簡潔に紹介されている。これによって,にわかではあるが中東問題の予備知識を得ることができ,実際何も知らないのとオープニングを見るのとでは,数々のやりとりへの印象がとても現実的なやりとりなんだと感じるようになってる。

そんな親切な説明もあって中東関係の政治というものがうっすら見えて,それだけでも十分満足といった感じなのだが,サウジアラビア入国後の展開もなかなか見所が満載。

サウジアラビアでの前半戦は,あくまでアメリカからのお客さんという感じで捜査を制限されまくるせいで最初は退屈で眠くなりそうになりながらも,制限された中でも地道な捜査を進めることにより,徐々にパズルのピースが埋まっていき,テロの実行犯に辿り着く行程は,どこぞの刑事ドラマを見ているような気分になる。

テロの実行犯も一層したことで気が済んだろ,とばかりにさっさと帰国させられる後半戦は,いよいよド派手なハリウッド大作らしく,それまでの流れとは一転した爆破と銃撃のオンパレードでになる。
まず,帰国のための飛行場へ向かう途中で護送中の車が襲撃され,仲間の一人が誘拐されるのだが,そこから仲間を助けるために必死のカーチェイスが始まり,見失ったら仲間が殺されるというとんでもない緊張感の中へと放り込まれてしまい,まさに手に汗握るという展開に。
車を追跡した結果,テロリストの本拠地である市街地にたった4人で飛び込むことになり,そこからは360度から銃撃が降り注ぎ,さらには生身相手にロケットランチャーまで惜しみなく撃ってくるという大盤振る舞いをしてくるテロリスト。そんなテロリストと激しい銃撃戦を繰り返しつつも,早くしないと仲間が死んでしまうという緊張感は未だに続き,圧倒的な火力を相手に勝てるのかとか,誘拐された仲間はどうなるの? と,もう寝てなんていらんねー! という怒濤の展開に。本作ほど激しい銃撃戦ってのは,相当金をかけた大作戦争ものでもないと滅多にお目にかかれないほどで,一見の価値はあるんじゃないだろうか。

まぁ,結局は圧倒的な火力を持った相手にも勝利し,誘拐された仲間も無事助け出したあたりはご都合主義って感じかつアメリカつえー,な印象を抱きそうになるんだけど,さらにご都合でテロリストのボスを見つけ出すのだが,その大ボスを見つけたのがサウジアラビアの軍人という,アメリカ万歳しようとしたら最後の最後でおいしいところを持ってかれたって感じで,アメさんには面白くないものじゃないだろうか。

最後にテロリストのボスが死の間際に放った言葉が明かされるのだが,その言葉がサウジ入国前に殺されたFBI捜査官と親しかった女性捜査官にロナルドが囁いた言葉とリンクしており,テロリストを殲滅することが解決になどまるでなっていないということを改めて強調している。もしかしたら,このラストのためだけに本作が作られたんじゃないかと思うくらいに印象に残る言葉であった。
posted by タク at 01:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 2007年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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