2007年10月22日

[ライトノベル]付喪堂骨董店3―“不思議”取り扱います

付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3) (電撃文庫 お 9-6)付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3) (電撃文庫 お 9-6)
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] 付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3) (電撃文庫 お 9-6)
[著者] 御堂 彰彦
[種類] 文庫
[発売日] 2007-10
[..

不思議な力を持った『アンティーク』と呼ばれるアイテムに関わる人々の物語を綴った短編集の3作目。3作目ということもあって構成がパターン化されつつあるが,そのぶんいままでよりも内容が濃く,話の展開もうまくなってきてる。
それでは今回も各エピソード毎で感想を。


中に入れたものを永遠に保存できるという箱を題材にした作品。咲にできたお友達,小学生の麻美ちゃんが飼っていた猫がいなくなってしまい,その猫を探すために猫屋敷と呼ばれる家に行くことになるところから始まる。

冒頭や主人公たちが屋敷を訪れた後の夜の独白から,この屋敷の主が箱の中に「喋ることができない」生き物を隠しているということは分かれども,一体なんなのかがまるで分からず。さらに,夜に屋敷を一人で訪れた麻美ちゃんが行方不明になったことから,もしかして箱の中に入れられてるのではないか? という不安を感じさせる展開を見せる。

この,先が気になってしょうがなくなるネタ出しは前からうまいほうだとは思っていたが,いままでは最初からある程度予想がつく範囲か,まったくの不意打ちのようなネタ出しかの2パターンだったように思う。しかし,今回はさりげなく伏線張りが行われており,最初は多少不意打ち気味だと思っていたラストも,よくよく振り返ってみるとさりげなく伏線が張ってあることに気づき,その点ネタ出しうまくなっているように感じた。ただ,ミステリーものを推理しながら読む人には一発でバレそうな伏線なだけに,普段ミステリーを読まない僕のようなタイプじゃないとミステイクできない程度だとは思った。今後は,ミステイクさせる技術の向上を期待したいところ。

人形

都和子さんが(騙されて)購入したアンティークの中にあった「その螺子をまいた人形が人間のように動くことができる」という螺子。その螺子に触れた咲が,その螺子の持ち主だった人形に意識を乗っ取られる話。

本巻の中で一番よかった。西の地にいる人形師の元にいる人間のように動くことができる人形・アゲハと,東の地の人形師の人形・クモ。2体の人形が交流や悲しい過去の結末,人形という存在の空しさなど,ただ人形たちの話だけでも泣けてくるストーリーなのに,そこに西と東の人形師の秘密や,何故アゲハやクモが人間のように動くことができるかが明かされた時は,完全に騙された! って感じ。最初から答えみたいな伏線が張られていたというのにまったく気づかず,それがうまく驚きに繋がっていた。


自分が望んだ夢を見ることができるという香炉の話。

恋人を交通事故で失った女子高生が,せめて夢の中だけでも恋人に逢いたいと願って香炉を使って夢の世界に浸りきるって展開なのだが,それがなんとも痛々しいというか鬱になりそうな感じ。

やがて,その女子高生の死の未来を見た刻也が眠り続ける彼女を助けるために香炉を使って夢の中に入り込むのだが,説得するどころか逆に夢に取り込まれて咲が死ぬ夢を見させられ,女子高生と同じように香炉に頼る選択をしてしまって追い返される始末。この辺の展開は,刻也のビジョンがあっても咲を助けられなかったことなどから(そもそも肝心の咲の死亡シーンがビジョンでしか出てこない時点で)夢を見させられてるんだろう,と興醒めになってしまった。もっとうまいごまかし方はなかったかなぁと。そうすれば,ちょっとは真剣に読むことができたのだが……。他のエピソードの出来がよかっただけに,これだけちょっと惜しいところ。

眠り姫

今回のラストも刻也と咲の見事なズレっぷりと,普段は無表情・無感情と思われがちな咲たん萌え萌えを増やそうとするストーリーがたっぷり詰まっている。

本巻のエピソード「夢」のその後ということもあって,今まで以上にお互いを意識するようになった刻也と咲が,これまた「夢」の中で出てきたアンティークが残した香の灰を吸い込んでしまったことで決まった時間から12時間眠り続ける,しかもその眠り続けるのが刻也が咲で完全に入れ違う状態に。さらに,この呪い? を解くにはキスをしないといけないとかなんとか。

「咲は俺の嫁」と宣言しているであろう全国数千万の男子諸君がきっと「刻也死ね」と叫びまくってることだろう,と妄想しながらニヤニヤしながら読み進めていく様は確実に通報されそうな感じだが,どうしてもニヤニヤしてしまうのは仕方なし,ということで。
そこからの展開は実にもどかしいというか,イライラする展開。キスしないといけないと言われた時のボケも同じ言葉になっていたりして気が一致してるわ,お互い意識し合ってるのはバレバレな態度や行動を取ってきたくせに,相手に迷惑なんじゃないかとか,キスに踏み切らない自分に対して心の中で言い訳を並べ立て,結局はまた眠りの交代の時間がきて……を繰り返す展開。さらには手紙でお互いを牽制しあい,相手からキスさせようとするも,ちょっとした日本語の勘違いで険悪ムードに突入したり。日本語って難しいのね,と思いつつも,どんだけエロゲなんだよ,とか,いい加減このスパイラルをどうにかしろよ,とツッコミを入れまくり。

結局,キスをしてアンティークの呪い? が解けたわけだけど,キスしたとはいえ,呪いを解くため,ということになってしまってるので,また次回があっても同じようなスパイラル劇があるのかも,と思うとちょっとげんなりしてしまう。そんな感じだった。
posted by タク at 13:31| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。