2007年12月02日

[ライトノベル]シゴフミ3

シゴフミ 3―Stories of Last Letter (3) (電撃文庫 あ 17-7)シゴフミ 3―Stories of Last Letter (3) (電撃文庫 あ 17-7)
販売元 : Amazon.co.jp 本
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[タイトル] シゴフミ 3―Stories of Last Letter (3) (電撃文庫 あ 17-7)
[著者] 雨宮 諒
[種類] 文庫
[発売日] 2007-11
[出版社..

想いを残して死んでいった者が死後,現世の大切な人に宛てた手紙……シゴフミ。そのシゴフミを題材とした短編集の3巻目。いつの間にかアニメ化もするそうで,1巻目から買ってるがそれくらいには人気あったのかとちょっと驚き。

今回は構成がちょっと変化。冒頭のカラーページが収録されているエピソードの簡潔な紹介だったのに対し,今回は完全に独立した物語になっていて,文伽の過去がちょこっと明かされている。これ,近々本編のエピソードとしてちゃんと書かれるのだろうか。あまりに断片的な情報すぎて消化不良すぎなんだが……。以下,各エピソードごとの感想。

まず『嘘とオーロラ』。入学以来一度も学校に来ず,留年しつづけている生徒「ナンバー・ゼロ」こと上条蘭。不登校少女とクラスメイトの英俊がひょんなことから知り合い,文通をするようになるエピソード。
これまでは死者が最初からいる状態だったのに対し,このエピソードでは生きてる人間同士の交流を描いている。といっても,蘭のほうは余命いくばくの状態で,オチは簡単に想像できる内容。このエピソードはバリエーションを増やそうとした結果,シゴフミというネタが全然いかされてない。
蘭と英俊の交流は,難病を抱えた少女とお見舞いする少年って題材としていくらでも同じような内容は氾濫しているし,最後に少女が死に,その少女の死に立ち合ってなかった少年に,少女の想いが綴られた手紙が届いたりするのもよくあるもの。突然死んでしまったことで,想いを伝えられなかったからシゴフミを使うというのに,死ぬのがある程度分かってる人間では,シゴフミ使わなくても同じことができてしまう。かなりコケ気味なエピソードだった。

次は『輝けるもの』。これは『シゴフミ』では珍しいというか初の前中後編で構成されている。照三郎という愉快なじいさんが死に,そのじいさんが仲の良かった高校生の男女に自分の願いを託すエピソード。
これまで1エピソードで,さらに1人の視点だけで描かれてきただけに,3つの視点でどう描いていくのかが楽しみだったのだが,時系列がそのまま前→中→後となっているので,同じ場面でも違う人間から見た視点というのが描かれていなかったのがちょっと残念。ただ,試みとしては悪くないし,このエピソードは照三郎というじいさんのキャラクターがとても面白いので読んでいてすごく楽しかった。ただ,中編に関しては少々蛇足かな? と思うことも。
どういうわけか前→後→中という構成になっていたのだが,前後編で照三郎のシゴフミについては全て描かれているし,その意志も十分理解されたと感じたんだが,その後にシゴフミに関する照三郎の考えとかを明かす必要はなかったのではないかと思った。ただ,昭三朗がマヤマに対して色々人生論を語ったり,その会話の中でマヤマに何か秘密があるっぽいことが描かれおり,今後の伏線じみたものが描かれているので,冒頭のカラーページ同様に今後の伏線回収に期待しておきたい。

最後は『Rainy Day』。このエピソードは,これまでと比べて文体がだいぶ違うし,それ以上にシゴフミという存在そのものに対する人の考えというものが描かれていて,過去のエピソードの中でもダントツに面白いと感じた。
このエピソードでキモになるのがある2つのシゴフミ。一つは戦場にいってる恋人に向けた飛行機事故で死んだ女性のシゴフミで,これまでと同じような大切な人に向けた想いを伝えるという内容。ここまでは素敵な奇跡ですね,な展開だが,終わりのほうにもう一つ,,戦場で拷問されて死んだ父親が息子に宛てたシゴフミが登場してくる。これにより,シゴフミがただ想いを伝えるだけのものではなく,人によっては憎しみの連鎖を産み出す道具にもなるという可能性を提示してきている。
これまでは肯定的な意味でのみ登場してきたシゴフミに,こうして否定的な視点が描かれいるのが面白い。というか,よくこのエピソードをライトノベルで書こうと思ったもんだと感心。こういうのってあんまりラノベじゃウケないんじゃないかと思うんだが。
posted by タク at 12:19| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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