2007年12月23日

[cinema]エンジェル

原題:Angel
監督・脚本:フランソワ・オゾン
原作:エリザベス・テイラー
出演:ロモーラ・ガライ,サム・ニール,シャーロット・ランプリング,ルーシー・ラッセル,マイケル・ファスベンダー
公式サイト:http://angel-movie.jp/

フランソワーズ・オゾン監督は一体どんなトリックを使ったんだろうか。どう考えてもリアルにいたらうざいというか,マジでキレること間違いなしな主人公・エンジェルが,見終わった時には不思議と憎めないキャラになっているのだから,マジックとしか言いようがない。

この映画は,夢見るステレオタイプな文学少女のサクセスストーリー。周囲にはわがままばかり言って迷惑をかけまくり,いつかは自分の書いた本が出版されて有名になり,貧乏な暮らしから抜け出して豪邸に住むんだということを語るエンジェルは,漫画としか思えないくらいにステレオなキャラ。それを実写でやるとこんなにも痛々しいのかと頭を抱え込みそうになる。

そんなエンジェルだが,ただ一点だけ,ちゃんと本を書き,さらに出版社に自分の作品(長編な上に4巻くらいまで出来上がってるというもの)を送って読んでもらおうと実際に行動するところには,なんだかただ夢ばかり見てるんじゃないんだなと少し見直す面も。

あんな長編をいきなり送りつけられて出版決定する会社があるんかい,とか思ってると,とんとん拍子に本の出版が決定。ただ,エンジェルは本を書くのに一切リサーチをしてないらしく,世間での常識的なものでも間違った描写が多くあり,さらには自分が経験したことがないことも全て想像で書いているという普通なら訂正の嵐なトンデモ仕様。だが,そんな世間の正しさなんて関係ねー,と一切訂正することなく出版させ,さらにはそんな本も発売と同時に大ヒットを飛ばし,さらには賞まで受賞したりと,一体どんだけサクセスなんだよとツッコミたくなるストーリー。そうしないと話が始まらないというのもあるにはあるが,正直どんだけうまくいくんだコンチクショーだ。

アメリカンドリーム顔負けなサクセスストーリーを歩むエンジェルだが,人間関係,とくに恋に関しては酒・ギャンブル・女遊びと,ダメ男街道まっしぐらな売れない画家と結婚したことで苦労が絶えず。この辺はこの手の作品にはお決まりな展開だなぁ,と思うんだが,この男の存在は結構重要。こいつがいるおかげでエンジェルのダメさも少し緩和されるという効果が生まれてる。

エンジェルの旦那もそうなのだが,それ以上にエンジェルのダメさを緩和しているのが,どんだけわがまま言われたり迷惑かけられようと,彼女の周囲が全員優しくエンジェルを見守っており,誰もがエンジェルを「いい子」と言うのだ。どんなファンタジーだよと思うのだが,これが終始一貫されるともはやエンジェルを嫌な女だと思うことが間違ってるのかと思えてくる不思議。あと,夢見すぎだと思えば,実は結構現実的なところもあるらしく,夢みたいなことは「信じれば,行動すればいつか叶うかもしれないから言ってる」みたいな心情だと知った時に,エンジェルというのがステレオなキャラというわけではないのだな,と認識させられ,それもまた憎めなくなる要素になってる。

どんな嫌なやつでも演出次第では意外といいキャラだと思えてくる不思議な作品。決して誰もが楽しめるというわけではないが,見終わると不思議と満足感を覚える作品だったと思う。
posted by タク at 21:15| Comment(0) | TrackBack(1) | 2007年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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