2008年02月14日

[ライトノベル]under 異界ノスタルジア

under―異界ノスタルジア (電撃文庫 せ 2-1)
瀬那 和章
メディアワークス (2008/02/10)
売り上げランキング: 1294

第14回電撃小説大賞「銀賞」受賞作品。表紙からアンダーグラウンドな臭いがぷんぷん漂ってきていたので期待して蓋を開けてみれば,アンダーグラウンドをやろうとしているエロゲなストーリーと,空気すぎる主人公があるだけだった。

この作品でキーとなる設定は"異界"。言葉だけならなんの変哲もないありふれたものだが,こいつの設定が結構新鮮。
肉体が死ぬと土に還り,また新しい命の糧になるという生命のリサイクルを魂にも適用し,"異界"では魂が分解や浄化をし,やがて新しい命を現世に産み出すという設定は,いままでお目にかかったことがない。

ただ,この"異界"という設定がうまく活かされてるかと言われたら速攻でノー。こいつの設定はせいぜい『断章のグリム』で出てきた悪夢による現象や異能をもたらす程度の役割しか担っていない。何やら"異界"は何層もあるという壮大そうなことが書かれているが,この巻ではただの数遊びにすぎないものだった。

さて,良かったと思った"異界"についてもあまり大して誉め言葉が思いつかなかったわけだけど,それ以外に目を向けると,冒頭でお伝えしたとおり,キャラもストーリーもアンダーグラウンドをやろうとしているエロゲだ。

主人公はちょっと悪っぽそうな顔を「舐められることがないから」とか言って粋がってるが,あまりの能力のなさでお荷物どころか空気状態。敵が主人公に絡んでくれたおかげでなんとか存在意義があった程度の存在で,必要だったのかが疑問に思うほど。
他の登場キャラに目を向けると,この手の作品にはお決まりなステレオタイプの薬漬けキャラや,暴力性をもったマゾ女,何かと「ハゲ」を連発する幼女,気障だけが売りな主人公の兄貴といった面々。究極的なのが双子の姉と体を共有する天然美少女で,肉体を共有する姉のほうは真性のサドで能力万能の最強キャラときたもんだ。そして,敵に配置されているのは,異能の力を得て粋がって組織を作ってるガキだったり,そいつらの裏には○○という黒幕がいましたってオチだったり,エロゲの影響受けすぎだろってツッコミばかりが思い浮かぶ。

文章表現もツッコミどころ満載。句読点の使い方が明らかに変だし,「〜だった。〜だった。」という風に,事実の羅列が一文中に何度も出てきて非常に読みにくい(人のことは言えないが,仮にもプロ業でこれはないと思う)。
もっとも文句を言いたいのが,いらぬ状況説明。極めつけが"異界"について主人公に解説しているシーンで,この時車で移動中なのだが,解説をぶったぎってまで車の運転の仕方が運転者の見た目と違って丁寧だっていう説明が入るのだ。それ,最高にいらない状況説明だぜって感じで,一気に白けた。

次回作があるのかは分からないが,せめて文章表現とエロゲの影響からは脱してほしいと思う。じゃないと,読みにくい劣化エロゲノベルになってしまう。
posted by タク at 12:09| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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