2008年02月16日

[cinema]母べえ

監督:山田洋次
脚本:山田洋次,平松恵美子
原作:野上照代
出演:吉永小百合,浅野忠信,檀れい,志田未来,佐藤未来,坂東三津五郎,他
公式サイト:http://www.kaabee.jp/

反戦を訴える映画というのは,果たしてこれで反戦という精神が観客に伝わるのだろうかという疑問を抱かせる映画が多いと感じている。この山田洋次監督の最新作『母べえ』も例外ではなかった。

昭和15年頃,吉永小百合演じる野上佳代は,夫が反戦主義を訴え続けたことで思想犯として投獄されたことで,幼い娘2人と共につらいながらも力強く激動の時代を生き抜いていくというお話。

冒頭で野上一家の貧乏ながらも幸せな家庭を見せた後,特高警察が突如家に押しかけ,夫を連れて行くは家捜しをしていくわけだけど,これがなんとも観ているこっちに特高に負の感情を逆撫でしまくる描写になっている。この他にも夫に対する待遇なども含めて特高の登場シーンは怒りを覚えるものばかり。この時代に生きてこなかったので,もしかしたら実際にこの映画のような振る舞いばかりだったのかもしれないが,ちょいと負の感情をもたせるために感情的になりすぎじゃないか? と思う演出が見え隠れする。

ただ,そういう感情的な面は特高様が出てくるシーンくらいなもんで,あとは山田監督ならではの人情劇を戦時下の日本で展開しているという感じ。そのため,悲観するような面があまりなく,反戦という面があんまり見えず。その代わりに吉永小百合のいつになったらヒロインという配役が続くのだろうか,という思いばかりを抱かせる。

今回のヒロインは子持ちながらも12歳と9歳の娘の母親である。さらに,34歳の男とロマンスがあったりと,確かに見た目は30代とか言われても十分通用するだろうけど,さすがにヒロイン役は若い人に任せ,もっと落ち着いた大人の役に落ち着かないものかと思ってしまう。

ロマンスもそうだけど,もっとも落ち着いてほしいと心底思ったのがロマンスの相手が海水浴中におぼれそうになったところに,和服を着たまま海に飛び込み泳いで助けに行くシーン。これ,観る限りは本人がマジ泳ぎしているように思えたが,もしマジ泳ぎならがんばりすぎてて痛々しくすら感じる。だから,もっと落ち着け,と。


何故か恥ずかしさを感じつつも,ようやくエンドロールが流れ始めたころ。延々と映画に関わった人の名前が並ぶ中,「原作・野上照美」の文字を発見。予備知識なしで見に行ってたんで,まさか劇中でさんざん食意地の張っていた9歳の幼女が原作者だと知り,これ自伝だったのかと思い至り,思わず「自伝かよ!」と最後の最後に叫びそうになった。
posted by タク at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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