2008年02月18日

[ライトノベル]MAMA

MAMA (電撃文庫 こ 10-2)
MAMA (電撃文庫 こ 10-2)
posted with amazlet on 08.02.18
紅玉 いづき
メディアワークス (2008/02/10)
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昨年の電撃小説大賞で「大賞」を受賞して以降全く新作の出てなかった紅玉嬢の,1年ぶりの新作(というか2作目)。前作と比べると幾分物足りなさはあるが,それでも十分すぎるくらいに満足のいく作品だった。


今回描かれるのは契約によって母子の関係を結んだ少女・トトと人喰い・ホーイチの魔物の物語。

本作でも童話のような独特の語り口は健在。ただ,童話のような語り口というのは,前作のような魔物が住む森が舞台というだけの曖昧な設定だったこと,少女と魔王の2人と少数の人物だけで成り立った狭い人間?関係であれば有効だと思ったが,今回は主人公のトトが魔術の知識を受け継ぐ家系に生まれた落ちこぼれだとか,住む場所が貿易が盛んな都市だったりと,細かい設定はないものの,微妙にバックグラウンドがある状態。果たして童話的語り口がうまく活かせるのか? とちょっと不安もあった。

読み終わってみると,トトの設定を極度の落ちこぼれにしたこと,魔法学校の学生がトトを見下しているために友人もできないこと,親との距離も微妙といった立場に置いたことでひとりぼっちにし,さらに人喰いを経緯はどうあれ使役することになったことでより孤独に追い込むことで,語りの中心がトトとホーイチの2人という,狭い関係に限定されるようになったので,最初の不安はうまく払拭された。

また,広い世界と多くの人がいる環境にありながら,トトとホーイチ,あとごく一部の人間?関係しか語られないというのは,焦点を合わせることでよりトトとホーイチを見守っているという感覚を覚えると同時に,良くも悪くも現代的かな,と思った。

多少のご都合主義があるものの,文章・構成全てにおいてライトノベルという枠に囚われないうまさがあり,多少の欠点も十分許容できる。
ただ欲を言わせてもらえば,後半に入るにつれて読みづらい文章が増えていったので,良い文章の持久力がほしいかな,と思った。ライトノベルという分野で限定すれば欠点にもならないレベルだと思うが,この作家さんは一般書籍でも十分渡り合える力があると思うだけに,今後の作品ではこの点に注目していきたいところ。
posted by タク at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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