2008年02月23日

[ライトノベル]君のための物語

君のための物語 (電撃文庫 み 13-1)
水鏡 希人
メディアワークス (2008/02/10)
売り上げランキング: 1022

第14回電撃小説大賞「金賞」受賞作。表紙絵からコバルト文庫のような匂いを感じてスルーしていたのだが,今受賞作の中では評判がいいことを聞き購入。読んでみると,確かに前に読んだ2冊(ほうかご,under)と比べるとずっとよかった。

「君のための物語」は,文学作家を目指す「僕」と奇妙で不思議な青年「彼」ことレーイの2人の,出逢いや喪失といった2人が体験したことを綴った短編形式の作品。

この作品のキモはどこかと考えた時,真っ先に思いつくのが丁寧な文章。ライトノベルだと文章の読みやすさよりもざっと読みでも理解できるインパクト性や気取ったもの(効果音やら小難しいけど見た目がかっこいい用語とか)が先に立つ傾向にあるけど,この作品は内容が地味なため,そういうインパクトのあるものが使いにくい作風。
そのため文章を読ませる度合いが強く,言葉の丁寧さや用語といったものを使っておらず,その辺はだいぶ気を遣ったのだろうと感じる。個人的には,この作品ほど文章が読みやすいライトノベルというのはあまりお目にかかったことがないので,それを新人さんがやっているというのはかなり好印象。

作風が地味なため,登場人物の魅力や個々のドラマがかなり重要になるが,権威があるのかは別にして仮にも賞をもらった作品だけあって魅力あるキャラクター,そしてそのキャラクターたちをうまく活かしたエピソードを盛り込んでいる。(大賞作の時に魅力なしと言ったことは気にしないことにする)

一番気にかかる点だったレーイの正体だが,序盤である程度明かすのは別にいいとして,ファンタジーな存在というライトノベルらしい安直なところにいってしまったのは少し残念。まぁ,じゃあ何が安直じゃないかと言われると,結局ファンタジーにいかざるを得ないかな,と思うのでこれでもいいかと思う。

読了後の余韻に浸ることもできて非常に満足できた内容だが,ただ一点,せっかくドラマ性が強い作風だったのに最後の最後でバトル描写を入れたのはよくなかった。
5章あるうちの3章のところで少しバトルを予感させる描写があって違和感があったが,最後の章では露骨にバトル展開……。これもある意味レーイという存在がどういうものかを象徴するエピソードであることは分かるのだが,それでもこの作品にバトルは余計すぎ。それだけは不満だった。

最後に,今年の流行語大賞になるように推したいのでこの一言で〆ることにする。

「ぬはぁ!」
posted by タク at 13:04| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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