2008年03月08日

[cinema]君のためなら千回でも

原題:The Kite Runner
監督:マーク・フォースター
脚本:デビッド・ベニオフ
原作:カーレド・ホッセイニ
出演:ハリド・アブダラ,ホマユン・エルシャディ,ショーン・トーブ,ゼキリア・エブラヒミ,アフマド・ハーン・マフムードザダ
公式サイト:http://eiga.com/official/kimisen/

「贖罪」をテーマにしたヒューマンドラマ。テーマからして哲学とか入って難しそうとか,アフガニスタンが舞台ということで暗い作品をイメージしていたけど,そんなイメージはいい意味で裏切られた。

ストーリーはテーマの重さやメッセージ性が強いわりにシンプルな構造のため,観ていて眠くなるような小難しさはなかった。というか,分かりやすすぎるとすら思う。

1970年代のアフガニスタンを舞台に,主人公アミールと召使いの子ながらも兄弟のように育ったハッサンという2人の友情が描かれていく。その風景はニュースなどで見せられる今のアフガンとはえらくかけ離れたほのぼのとしたもので,子供を中心に描いているし,ここからどうやったら「贖罪」なんて言葉が出てくることが起きるんだ,そこまでひどいものは見せられないんじゃないかと思っていた。

だがそんな思いは,アミールの気弱さから見捨てられたハッサンの身にふりかかるある事件でひっくり返され,そこからは主人公の性格にイライラしまくったり,事件後のハッサンに対する言動に怒り心頭。こんなやつでも見捨てずにいる親友でいるなんて空しすぎるわ,と感じる展開が続いた。

その後ソ連のアフガン侵攻によって主人公と父親はアメリカに亡命。この亡命中,彼の父親の勇敢さに漢を見て,こいつに父親の勇敢さの欠片でも入っていれば……と思わず嘆いてしまった。

アメリカ亡命後,アミールが結婚するまでの過程が描かれるんだけど,どうしてもハッサンに対する行動が許せなく,とてもじゃないが祝える気分に全くなれず,自分だけ幸せになってるんじゃねーよ! と思わずにはいられず,ここでもやっぱりイライラ。

だがそんな展開も現代(と言っても2001年だけど)にきて変化。
ハッサンの死,アミールとハッサンに隠されたある真実,酷い仕打ちをしたアミールに恨みどころか今でも慕っていたことを告げるハッサンの手紙から,死した親友への償いのため,親友の子供を助けに行動する主人公。その行動はまさに「贖罪」という言葉のとおり。とても分かりやすく提示しているけど,決して軽いことはなく,だが分かりやすいが故に観ているこちらにも十二分に主人公の心境の変化に理解を示すこともでき,また彼に対して感情移入をようやくでき,最後のアミールの台詞では,最初イライラしていたのが嘘のように思わず感涙してしまった。


ストーリーはとても素晴らしかったが,ストーリー以外にも印象的なことがあったのでそれも挙げておきたい。

一つはこの手のドラマ性の強い海外映画には珍しい明確な悪役がいること。アミールとハッサンが決別してしまうきっかけを作ったり,さらにハッサンの子を連れ去ったのが同一人物で,本作の悪役を一手に引き受けたキャラクターがおり,この辺は一話ゲストで出てくるドラマの悪役のような感覚。

もう一つはほとんど空が明るいこと。夜のシーンもいくつかあるものの,それでも暗い画面にはならずに家の中だったり,明るい照明があったりして,ソ連侵攻時の亡命以外では,現代のアフガンでの移動時ですら空は明るく,そして広かった。これに何か意味があるのかは分からないが,決して暗い映画ではないということを語っているように思えた。
タグ:ドラマ 映画
posted by タク at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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