2008年03月16日

[cinema]バンテージ・ポイント

原題:Vantage Point
監督:ピート・トラビス
脚本:バリー・レビ
出演:デニス・クエイド,マシュー・フォックス,フォレスト・ウィテカー,エドガー・ラミレス,シガニー・ウィーバー,ウィリアム・ハート,エドゥアルド・ノリエガ
公式サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/vantagepoint/

テロ撲滅のスピーチをしようとしたアメリカ大統領が,スペインのサラマンカの広場に集まる大観衆の目の前で狙撃されるという事件を,8つの視点から追うサスペンス。わずか90分の中に詰め込まれたものは,想像以上に刺激的で面白かった。

『バンテージ・ポイント』は,日本映画の名作『羅生門』のように同じ出来事を視点を変えて何度も繰り返し見ることで真実に迫っていく。しかし,一点だけ『羅生門』と違うのが,事件を目撃者の証言で回想するのではなく,事件発生前からを事件発生後の各人の行動を,その人の視点そのものから見せていること。

過去,一つの出来事を複数の視点から手繰っていくという映画は数多くあれど,本作のような「見たものそのまま」を流すというスタイルは初めて観た。このスタイルにより,なんらかの思惑によって嘘をつく人物が現れ,その嘘を見抜くというサスペンスものにありがちなパターンは排除され,短い時間での出来事を描いていることもあり,ストーリーにスピード感が生まれている。

本作を観て何より感じるのが,とにかく出てくる人物や行動,台詞に無駄がないも矛盾もないこと。8つの視点という時点で8人の人物が絡むんだから少しくらい無駄がありそうなものだけど,各人の何気ない行動や台詞,見てきたものなど,一見無駄そうに見えるものほど本作の真相に繋がっており,その繋がりに矛盾らしい矛盾も見当たらない。そのため,別の視点になった時に何気なかったものにも大きな発見があり,「これってそういう意味だったのか!」と思わず叫びたくなる驚きを感じた。

また,各人の視点がいいところでブツ切りされるため,「この続きはどうなるの!?」という,なんかTV番組のような引っ張り方をするんだけど,展開がとてもスピーディなのもあって,かつ上記のように大きな発見もあって,ほどよく緊張感も持たせてくれた。

8つの視点が終わって事件の全貌が明きらかになって,いよいよクライマックス,というところでカーチェイスシーンもあり,この辺はハリウッド的な展開だと思いつつも,興奮も頂点に。このカーチェイスが終わった時,大きなカタルシスを得られた。

事件終了後,事件の結末や大統領の安否を報道するシーンで〆るのだが,そのシーンで「射殺」って言葉を使っていたのが印象的。実際このような事件があった場合,アメリカの報道ではこういう言い方をするのかは知らないから何とも言えないが,少なくとも娯楽映画において犯人を殺すことは正義の行動みたいな描かれ方をするだけに,「射殺」という言葉を使われたのは意外であったと同時に,ちょっと好感を覚えた。

スピード感溢れる展開や近づくにつれ驚きの連続でアドレナリンも全開になるものの,やはり同じ場面を(視点が変わっているとはいえ)何回も見せられるのは人によっては退屈になるかもしれない。てか,後ろにいたおばはんあたりが「くどい」とかぼやいていたので,最初のうちは限られた情報から想像力を駆使して観ていくことがおすすめかもしれない。
posted by タク at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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