2008年03月29日

[DS]タイムホロウ 奪われた過去を求めて

タイムホロウ 奪われた過去を求めて
コナミデジタルエンタテインメント (2008/03/19)
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タッチペンを使って過去を修正していくSFアドベンチャー。数多くのアドベンチャーゲームがDSで登場してきたが,本作ほどタッチペンというデバイスが作品とシンクロした作品はなかったんじゃないかと思う。


タッチペンを使って過去を修正

本作は章仕立てで成り立っており,章毎に発生する事件を主人公が持つホロウペンと呼ばれるペンを使って過去を修正,解決することで章をクリアするという流れになっている。この過去を修正するまでには色々やることがある。

まず最初に,事件に関連のあるフラッシュバックが手に入るのだが,このフラッシュバックはいつ・どこで・誰が・何を・どうやって,という5W1Hが分からない状態になっている。そのため,フラッシュバックで見た場面の5W1Hを確定させる必要がある。それには街を散策し,出会った人々と会話をすることで情報集めをする必要があり,この辺は普通のアドベンチャーゲームと変わらない内容。

情報を集めてフラッシュバックの内容を確定させると,フラッシュバックに写った場所に行くことでいよいよタッチペンを使って過去の修正できるようになる。

過去を修正する際,主人公はホロウペンを使って過去と繋がる穴を作り出し,その穴を通して過去に介入することができるのだが,この一連の作業の流れを,このゲームではタッチペンによってうまくプレイヤー側が実際にやる行動とゲームのキャラクターの行動をシンクロさせている。

こういうプレイヤー側とゲームキャラクターの行動がシンクロしているのは,DSでも他ジャンルでは少ないながらもあったし,Wiiなどの体感ゲームで多く存在するものの,アドベンチャーゲームというジャンルではこれほどシンクロしているものは見かけたことがなかったので新鮮な気分で楽しむことができた。

ただし,その新鮮さもプレイしていくことで徐々に失われていく。新鮮味がなくなりはじめると,過去の修正方法にバリエーションがないのも手伝って作業化しそうになるのだが,そうならないようにするため"どうやって修正するか"の部分が少しだけ複雑・曖昧化し,頭を使うようになっていく。

この複雑・曖昧化に関してはバリエーションのなさに対する誤魔化しのように感じて不満だったが,修正するための穴の大きさや回数に制限が設けられているためコマンド総当り的なプレイができず,新鮮さの代わりに緊張感が出てくる。もっと驚きや面白さがほしかったが,これはこれでゲームっぽくて悪くはなかった。


ボリュームが小さいなりながらも,密度の濃いシナリオ

本作はよほどのことがなければ5〜6時間程度で終わるボリュームになっている。DS初期に出た『アナザーコード』というボリューム不足と言われたアドベンチャーがあったが,それよりボリュームが小さい。ただ,ボリュームが小さいなりにも意外性もある密度の濃いシナリオを体験することができた。

本作は『タイムマシン』などの時間を題材にしたSFで定義されたタイムパラドックスやらパラレルワールドといった理論がシナリオにうまく味付けされており,過去を変えるたびにキャラクターたちの立ち位置が微妙に変わったり,変えたことで新たな事件が発生したりと,状況がどんどん変わっていく展開はSF的でとても面白い。

また,ストーリーが後半に入ると主人公以外にもホロウペンを持つ人物が現れ,その人物と対決するという熱い展開があったり,その人物に関係する"ある事件と事実"というのがとても意外性があって,ストーリーが進むほどに次の展開が気になってやめ時が見当たらず,どんどんストーリーの魅力に吸い込まれていき,終わったときは久しぶりにアドベンチャーゲームというジャンルで充実感を味わうことができた。

ところで,過去を変えるというのはゲームでも色々な作品で取り上げられているが,本作のように実際に過去にいかずに過去を修正するというのは珍しく,ゲームでは見たことがない。ゲーム以外でもあまりなく,自分が知る限りでは3年くらい前に公開された『バタフライ・エフェクト』くらいしか類似するものが見当たらない。その映画を見ていると本作の「過去にいかずに過去を修正する」というものに対して新鮮さは感じないが,その代わりに類似する点が見つけるという密かな楽しみがあった。


ストーリーを彩るキャラクターたち

本作には主人公をはじめ,魅力的なキャラクターデザインで描かれたサブキャラクターが数多く登場する。

キャラクターはシナリオが短いわりには主人公を含めて20近く存在し,過去を変えるたびに性格や立ち位置がころころ変わる歩朗のおじをはじめ,主人公に協力してくれる友人や本作のキーキャラクターとなるヒロインなど,魅力的なキャラクターばかり。

魅力的なキャラクターばかりなのと,キャラクターデザインがとてもアニメ的なのでボイスを期待する人も多くいそうな作品だが,要所に差し込まれているアニメーション(これがまたかなり綺麗)以外ではボイスが入っていない。ジャンルがアドベンチャーということもあって,期待する人が多くいそうな分ボイスが入っていないというのはマイナスな気もするが,個人的にはボイスがないことでシナリオに集中できたのでボイスなしというのはよかったと思う。

また,キャラクターたちの名前がちょっと面白いことになっており,名は体を表すというべきか,主人公の名前が「時尾歩朗」という時間に関連したものをはじめ,1から12まで,すべてのキャラクター名に時間に関連した文字が入っている。その名づけ方がどうした,という感じでもあるが,本作のキャラクターデザインでこういう名前をつけるセンスというのは,どこか昔の漫画のような感覚がして好感が持てた。

さらに忘れちゃいけないのが本作に登場する犬やネコのペットたち。ペットたちはシナリオにかなり深く絡んでいることもあり,なかなか侮れない存在になっている。中でも主人公が飼っているネコのホロウはネコ好きの自分としては,出てくるだけでとても和んでしまう存在だが,ラストに意外な事実が明かされるなど,単なるマスコットにとどまらず,意外なキーキャラクターだったりする。


DSの中でも一歩先をいくアドベンチャー

これまでDSでいくつもアドベンチャーゲームが登場し,そのいくつかをプレイしてきて,DSとアドベンチャーというジャンルが思った以上に相性がよいことを実感してきたが,本作はそういった過去のDSアドベンチャーにはない,アドベンチャーというジャンルの新しい魅力を味わうことができる作品に仕上がっていた。ボリュームやボイスがないとプレイする気が起きない,という人以外のアドベンチャー好きには,ぜひ遊んでほしいと自信を持ってお勧めしたい良作であった。
タグ:SF ADV DS
posted by タク at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | game | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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