2008年04月06日

[cinema]スルース

原題:Sleuth
監督:ケネス・ブラナー
脚本:ハロルド・ピンター
原作:アンソニー・シェイファー
出演:マイケル・ケイン,ジュード・ロウ
公式サイト:http://www.sleuth.jp/

1972年の傑作ミステリー映画『探偵<スルース>』を,マイケル・ケイン×ジュード・ロウでリメイクした作品。昔の映画らしく構成が荒削りではあるが,主演二人の男のプライドをかけた騙しあいは終始緊張感みなぎる展開だった。

本作はロンドン郊外の邸宅を舞台に,ベストセラー推理作家のワイクと,彼の妻の浮気相手であるティンドルという二人の男の知性と理性をかけたゲームが描かれる。

この二人の最初の対決,離婚しろって言ってくる若い男に対して,ワイクは離婚を承諾するかわりに自分の家にある宝石を泥棒役になって盗み出せと言い出すという,一歩間違えば(間違わなくてもだが)コメディかと思うような展開が最初に待っている。

この偽装強盗の一幕は,明らかに嘘としか思えないこの提案に乗り,無様な様を見せるティンドルのピエロっぷりを笑うコメディにしか見えない。だが,ティンドルではなくワイクのほうに目を向けると,ティンドルが映る監視カメラを冷酷に見つめながら笑い,狂気じみたようにテンション高く指示を出す彼の姿を見て,これはワイクの残酷さと狂気ぶりを手っ取り早く観客に伝える手段なのだろう,と感じるようになった。そうして見ると,このシーンは思った以上に練られたシーンなんだと思える。

この偽装強盗の件は,最後にティンドルが銃で撃たれるという度肝を抜かす終わり方をする。このとき,もう90分経ったのか,と思っていたら,場面が変わって今度はワイクの元に一人の刑事が訪れるシーンになる。

このワイクと刑事のシーンは本作のゲームの第2回戦になっているのだが,この第2回戦で驚くようなことは何一つもなかった。というのも,刑事のほうがいくら変装していても顔がジュード・ロウにしか見えないし,声も彼だし,役者という設定から考えてこいつティンドルだろ,と察しがつく。もしかしたら一人二役ということも考えられたが,そんなオチだったらオリジナルが傑作と言われる理由にはならないだろうから,必然的に変装という結論に行き着く。ここは観客側で驚きを感じるよりも,傲慢だったワイクのやられっぷりを楽しむところなのだろう,と割り切らないとちょっと白けてしまう。

そして二人の対決が最終局面を迎えるころ,姿も声も出てこないが,二人芝居だったところにワイクの妻が話に絡んでくる。この突然の闖入者の存在で,これまで一歩先くらいは読めたのがまったく先が読めなくなり,一体いつ・どういう結末に転ぶのかという緊張感あふれる展開,安直だが手に汗握る展開とは正にこのこと。

ラストは唐突に終わりを告げる。冒頭でも書いたが,ティンドルはどうなったのか,ワイクはどうなるのか,という想像力を掻き立てる曖昧な終わり方になっているが,オリジナルはこの辺をきっちり描いていたらしい記述を目にするに,この曖昧さは現代らしい作りなんだろう。
posted by タク at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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