2008年04月13日

[ライトノベル]断章のグリムZ 金の卵をうむめんどり

断章のグリム (7) (電撃文庫 (1574))
甲田 学人
アスキー・メディアワークス
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童話を題材にしたシリーズもついに7冊目。1作目が出てから1年ちょっとでこのペースはさすがとしか思えん。

7巻ではイソップ物語を題材にした短編集。甲田氏の短編ものというとハードカバーで出た『夜魔』以来。前2作が連続で上下巻構成と,長丁場だったので今回は一休みといったところか。蒼衣と雪乃が遭遇した<泡禍>による小さな事件と,雪乃と風乃がまだ<泡禍>に巻き込まれる前のエピソードが描かれている。

短編ということもあって,既刊と比べてるとだいぶ小規模な話が展開されている。一編あたりの登場人物は少ないし,<泡禍>のスケールはせいぜい数人を巻き込む程度。さらに誰が悪夢を抱えているのか? といった謎の部分がごっそりそぎ落とされているため,かなりシンプルな構成になっている。このシンプルさは短編ということもあるだろうが,題材にしているのが章末に載るわずか数行で構成されているイソップ物語であることも起因しているのだろう。

それにしても,これまでも普通の小説と比べるとだいぶ短い童話を妄想たくましく大事件に仕立て上げてきただけに,わずか数行の物語すらも一つの短編小説としてまとめあげた妄想力と,うまく童話と結びつくように話を落とし込んだ構成力は短編であっても遺憾なく発揮されている。なので,多少の物足りなさはあるものの,十分満足できた。

このシリーズ,というよりこの作者の作品で気にかかるのがグロテクスな表現。今回はグロ表現もあまりなく,唯一流し読みで飛ばしたのは最後の章でのネコが殺されるシーンくらい。読み飛ばしたとはいえ,このシーンが読みたくないほどグロかったというわけではなく,単にネコが殺されるシーンを読みたくないという心情から飛ばしただけ。なので全体的に読んでいて不快感を感じることもなく,グロシーンに期待している人には物足りない出来かもしれないが,安心して読むことができてよかった。
posted by タク at 18:16| Comment(0) | TrackBack(0) | novel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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