2008年04月26日

[cinema]大いなる陰謀

原題:Lions for Lambs
監督:ロバート・レッドフォード
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
出演:ロバート・レッドフォード,メリル・ストリープ,トム・クルーズ,マイケル・ペーニャ,デレク・ルーク,アンドリュー・ガーフィールド
公式サイト:http://movies.foxjapan.com/ooinaru/

豪華な面子が出演するロバート・レッドフォードの7年ぶりの監督作。エンターテイメント性は一切なしで,社会派というよりも監督自身の「俺の思想を観やがれ!」な映画だった。

将来の大統領候補と目される上院議員とジャーナリストとのインタビュー。リベラルな大学教授と授業に出席しなくなった生徒の対話。アメリカ軍に志願し,アフガニスタンの軍事作戦に参加している大学教授のかつての教え子二人。この3つの視点でドラマが繰り広げれる。

それぞれの視点はほんのちょっとの関係があるくらいで,ストーリーが直接絡むようなことはない。さらに,主張するテーマも別々で,観終わった時は一体なにがしたかったのかさっぱり。だが,あとになって整理してみると,(深読みしていなければ)思ったより深い意味があったのかなぁ,って感じ。

上院議員とジャーナリストのところはもっとも意味深いところかと思う。テロとの戦争で勝利することを考える政治家と,その戦争を批判するジャーナリスト。この相反する二人の論争は,「政府とマスコミが一緒に戦争を支持した」という言葉でもって上院議員に旗が上がったところで終わりを告げる。この一言はかなり重く,今の政府とアメリカのマスコミや国民たちの関係を表しているよう。

アフガニスタンのシーンでは,特に主張らしい主張が語られることがない。ただ,もう一つの視点,大学教授たちの視点で語られる学生時代の教え子二人が軍に志願するまでの経緯と理由が合わさると,単なる悲劇ではなく,ドキュメンタリー映画でブッシュ政権をいじるのが大好きな太っちょのおじさんが語ってたアメリカ社会の格差問題と,それによって引き起こされた悲劇を主張しているように感じた。

最後に大学教授と生徒の会話は,重要なストーリーが展開されるわけでもなく,これがないと映画が成立しないというわけでもなく,成績をオールB+にするか教授の話を聞くか,とかいう訳のわからん選択肢があるとか,かなり無理のある展開ばかり。この視点は,とにかく監督が主張したいことを詰め込んだシーンで,選択の自由,なにはともあれ行動すること,何より行動の責任をとることが大事,といった説教を耳にたこができるくらい聞かされる。

あまりの説教のしつこさに,自由・行動・責任といった主張がいかに重要なのかを観客に実感させるために,ほかの2つの視点があるといってもいい。言わんとしていることは分かるが,それぞれがあまりに独立しすぎな上に,一番語りたい主張が描かれるシーンが映画的に一番いらないとなると,映画としてはかなり失敗。アメリカでの評価が低かったわりにはなかなか面白かったし,興味深いことを語っていただけに,もう少し構成を考えてほしかった。
ラベル:ドラマ 政治 映画
posted by タク at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年鑑賞映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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